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行政処分における「重大な違反」とは?

以前、【トラック運送事業者必読!「行政処分」について】という記事で、「重大な法令違反が行われた場合、事業停止処分や事業許可の取り消し処分が下されることがある」とお伝えしましたが、具体的に、どのような行為が「重大な法令違反」にあたるのかについて、今回はご紹介していきます。

重大な法令違反とは

重大な法令違反とは、運行管理や整備管理などの観点から、特に重要な法令に関する違反のことで、重大事故につながる可能性も高く、その分処分も重くなります。

重大な法令違反は全部で8つ

重大な法令違反は全部で8つ存在します。
これらの違反をした場合、違反点数や処分日車数に関係なく、「30日の事業停止処分」となります。

また、3年間のうちに同一の違反によって処分を受けた場合は、事業免許の取り消しとなります。
ここからは、それぞれの違反についてご紹介します。

違反1:ドライバ―の勤務時間や乗務時間の違反

トラックのドライバーの勤務時間と乗務時間が、法令に定められている時間から著しく違反した場合、重大な法令違反にあたります。
基本的には勤務時間や乗務時間の「超過」による違反なので、運行管理者(会社)とドライバー本人の両者が勤務スケジュールの管理をしっかりとしておかなければいけません。
ドライバーの勤務時間については、過去記事で詳しくご紹介していますので、こちらも参考にしてみて下さい。
【関連記事:トラックドライバーの労働時間はどのように決められているの?(基本編)

違反2:点呼を全く行っていない

運送事業者に所属している運行管理者は、これからトラックに乗務しようとするドライバーや、乗務を終了したドライバ―に対して点呼を行い、報告や確認を促すとともに、以降の業務指示を送り安全管理を徹底する義務があります。
基本的には対面による点呼を行わなければなりませんが、「Gマーク」を取得している事業者の場合は、「IT点呼」による、遠隔での点呼も可能になっています。
【関連記事:Gマークって何?どんな意味があるの?
これらの点呼を全く行っていなかった場合、ドライバーの状態が全く把握できず、事故につながりやすいことから、重大な法令違反として扱われています。

違反3:定期点検整備を全く行っていない

定期点検整備は、道路運送車両法によって3ヶ月に1度、実施が義務づけられている点検整備です。
トラックが安全かつ快適に走行するために必須の点検整備であり、整備点検記録簿に整備の結果を記録していきます。
これを行っていない場合、いつ車体が故障して大事故につながってもおかしくないため、違反した場合には重大な法令違反として扱われています。

違反4:整備管理者が全くいない

トラック運送業を始める際には、「運送業許可」というものを取得しなければいけませんが、運送業許可を取得するためには「運行管理者」と「整備管理者」の選任が必須となります。
また、複数の事業所がある場合には、各事業所につき1人以上の整備管理者が選任されていなければ、運送事業を始めることができません。
そのため、整備管理者が営業所に全くいない(選任されていない)場合、重大な法令違反となります。

違反5:運行管理者が全くいない

上述した通り、整備管理者と同様、運行管理者の選任も法令によって義務付けられています。
そのため、整備管理者と同じく、運行管理者が全く選任されていない場合も、重大な法令違反とされます。

違反6:自社の名義を他人に利用させる

トラック事業は、国による許可を得て初めて行うことが許されます。
そのため、本来トラック事業を行うことができない人たちに対して、運送許可を受けている人たちが自分の名義を利用させる、いわゆる名義貸しを行うと、法令違反となります。
どんな理由があろうと、他者に対し、運送会社として自社の名義を貸すことは許されていないのです。

違反7:事業の貸渡しなどを行う

名義貸しと同様に、事業の一部、あるいはすべてを貸渡し(レンタル)することも、重大な法令違反となります。
事業許可とは、ある一定の基準を満たした運送事業者に対してのみ行われます。
事業許可がない人に対して事業をレンタルすると、重大事故の発生を招く可能性が高いほか、事業の遂行能力そのものも不十分な可能性があることから、事業のレンタルは厳禁とされています。
もちろん、事業許可がある人に対しても、事業のレンタル自体が禁止されているため、「ウチは事業許可があるからレンタルを受け手も大丈夫」とはなりません。

違反8:監査などの立ち入りを拒む

運輸局の巡回監査などを含む立ち入り検査の際に、検査を拒んだり妨害したりするような行為や、質問に対して説明をしなかったり嘘の説明をするといった行為があった時に、重大な法令違反となります。
立ち入り検査は、事業者が法律を守っているかどうかを判断するために運輸局が行っているものです。
したがって、立ち入り検査を適切に行えなくするような妨害や、検査結果に影響があるような虚偽の説明は非常に悪質な行為であるため、重大な法令違反として扱われます。

これらの内容を事業者が行っていた場合、違反の悪質性や規模に合わせ、違反していた事業所の事業停止、もしくはエリア内にあるすべての事業所の事業停止、最も重い場合は運送事業許可の取り消し処分が下されます。

「重大な法令違反」以外にも、即「事業停止」となる法令違反は存在する

ここまでご紹介した「重大な法令違反」以外にも、処分日車数に「事業停止」の日数が追加される違反行為、つまり車両の停止ではなく、即、事業停止となる違反行為があります。

以下の違反について、事業者が命じていた、もしくは容認していた場合は、「14日間の事業停止」が処分日車数に追加されます。
・酒酔い運転
・酒気帯び運転
・薬物等使用運転

以下の違反について、事業者が命じていた、もしくは容認していた場合は、「7日間の事業停止」が処分日車数に追加されます。
・過労運転
・無免許運転
・大型自動車等無資格運転
・過積載運行
・最高速度違反

また、以下の違反について、それらが原因で「重大事故」が発生した場合に、事業者がドライバーに対して指導や監督を怠っていた場合も、「3日間の事業停止」が処分日車数に追加されます。
・酒酔い運転
・酒気帯び運転
・薬物等使用運転
・救護義務違反

以下の違反について、事業者がドライバーの指導や監督を怠っていた場合、「3日間の事業停止」が処分日車数に追加されます。
・過労運転
・無免許運転
・大型自動車等無資格運転
・過積載運行
・最高速度違反

また、以下の違反について、それらが原因で「事故」が発生した場合に、事業者がドライバーに対して指導や監督を怠っていた場合も、「3日間の事業停止」が処分日車数に追加されます。
・酒酔い運転
・酒気帯び運転
・薬物等使用運転
・救護義務違反

これらの場合、違反行為そのものへの事業停止処分はもとより、違反を行ったことが原因で発生する事故やトラブルに対して、民事や刑事での訴訟となる可能性も高く、結果として事業免許の取り消しにもなりやすい違反だといえるでしょう。

いかがでしたでしょうか。
今回は、以前ご紹介した行政処分の中でも、重大な法令違反についてご紹介しました。
これらの違反は、ただ単純に事業に影響を及ぼす、というだけでなく、時には重大事故につながってしまうため、自社が違反してしまわないように、法律を厳守しましょう。

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