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トラックドライバーの労働時間はどのように決められているの?(基本編)

ドライバーの人数不足や小口運送のニーズの増加など、トラックドライバーの需要は年々増え続けています。しかしそれは、トラックドライバー1人ひとりの負担が増えていくことを意味しています。
そんな中で、トラックドライバーはしっかりと休息をとりながら運行し、経営者も決められた労働時間を守れるように管理しなければなりません。
そこで今回は、トラックドライバーの「労働時間」に関する情報をご紹介していきます。

トラックドライバーの労働時間は「労働基準法」で決まっていない?

一般の会社員の勤務時間や休憩時間に関する決まりは、「労働基準法」によって定められています。
しかし、トラックドライバーの労働時間や休憩時間に関しては、労働基準法ではなく「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準と呼ばれることが多いです。本記事でも、以降は「改善基準」と呼称します)」が適用されています。

この改善基準では、一般の会社員のような「勤務時間」ではなく、「拘束時間」「休息期間」によって、トラックドライバーの業務時間が管理されます。

改善基準の定義

改善基準は、トラックに限らず、自動車の運転を仕事とするドライバーの労働条件の改善を図る目的で定められた基準で、改善基準は自動車の運転を業務として行う人に対して告示されています。
改善基準の告示を受けたドライバーや管理事業者は、改善基準で定められた内容に基づいて業務や管理を行います。

改善基準に違反すると

改善基準は労働基準法のような「法律」ではないので、違反しても刑事罰が科されることはありませんが、定められている改善基準に違反した場合には、「改善基準告示違反」となり「行政処分」が適用されます。

その時の状況に応じて警告で済む場合もあれば、一定期間の事業停止処分など、非常に重い処分が科されることもあります。
2018年初頭には、多くの事業者が改善基準を守っておらず、30日間の事業停止処分が科されたというニュースも話題になりました。

では、改善基準を満たす要件とは何なのでしょうか。
ここからは具体的に、「ドライバーの労働条件に関する改善基準」の内容についてご紹介していきます。

拘束時間とは

拘束時間とは、始業から終業までの間の、全ての時間を指す言葉です。
拘束時間の中には、労働時間だけでなく休憩時間等も含まれており、1ヵ月の拘束時間の総数が原則として定められています。
1ヵ月の拘束時間の合計は、原則として293時間を限度とし、特に申請などを行っていない場合にはこの時間を越えてはいけないようになっています。

毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、「1年間のうち6ヵ月までは、年間の拘束時間の合計が3,516時間を超えない範囲内において、1ヵ月当たりの拘束時間を320時間まで延長することができる」とされています。
※3,516時間は293×12、つまり原則の293時間を12か月分合計した数字です。そのため、拘束時間の延長を行った月がある場合には、延長した時間と同じだけの時間、他の月で拘束時間を減らすなどの調整が必要になります。

拘束時間は月間や年間だけでなく、1日当たりの拘束時間についても決まりがあります。
1日の拘束時間は、始業開始した時間から24時間で計算が開始され、そのうち13時間までと定められています。

ただし、トラックで運送などを行っていると、日によって運行距離や時間が異なるのが普通です。その場合は、仕事の都合で1日の拘束時間を16時間に延長することも可能です。
しかし、1週間のうち拘束時間を15時間以上に延長することができるのは、最大で2回までとされています。片道が15時間以上かかる長距離の運送の場合は1週間に2回、往復だと1往復しかできないことになりますので注意しましょう。

拘束時間についてまとめると以下のようになります。

1ヵ月間の拘束時間の合計:293時間以内、労使協定を締結した場合には年間3,516時間を超えない範囲で、1ヵ月当たり320時間以内に延長可能

・1日の拘束時間:13時間以内、やむを得ない場合は16時間以内(ただし、15時間を超える拘束時間は1週間に2回まで)

休息期間とは

さて、ここまで改善基準で定められている時間のうち拘束時間についてご紹介しましたが、ここからは休息期間についてお伝えします。

休息期間は、「1つの勤務とその次の勤務との間にある時間」のことで、ドライバーにとっての生活時間のことです。
睡眠時間を含め、ドライバーが完全に自由にできる時間とされ、1日の間に継続して8時間以上の休息期間が必要と定められています。

また、休息期間に加えて24時間の休息が発生する期間のことを「休日」と定義しています。
休日は、いかなる場合であっても30時間を下回ってはならず、もし30時間を下回っていた場合は休日として取り扱われません。

仮眠などの休憩時間はどのようにカウントされるの?

さて、拘束時間と休息期間についてお伝えしてきた中で、休憩時間の扱いについて疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
食事や仮眠などの休憩時間については、どのようにカウントされるのかをご紹介していきます。

拘束時間の項目で、チラッと「休憩時間は拘束時間の中に組み込まれている」ことをお伝えしました。
つまり改善基準の中では、休憩時間も拘束時間の一部としてカウントされています。
そのため、長距離を移動しなければならない場合には、休憩時間の取り方もうまく工夫しないと、時間内に目的地に到着できないケースも発生します。

また、改善基準では「連続運転4時間以内、もしくは連続運転4時間経過直後に、運転を中断して30分以上の休憩等を確保しなくてはならない(ただし、1回につき10分以上としたうえで複数回に分割することは可能)」とされています。

いかがでしたでしょうか。
今回は、「トラックドライバーの労働時間はどのように決められているの?(基本編)」と題し、トラックドライバーの労働時間がどのように定められているかを簡単にご紹介しました。
トラックドライバーの労働時間は特殊なケースもあるので、次回「トラックドライバーの労働時間はどのように決められているの?(特例編)」でご紹介していこうと思います。
年々トラックドライバーが不足している中で大変かとは思いますが、定められているルールをしっかりと守って、安全な運行に努めていきましょう。

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