トラックや重機を運用するにあたり、切っても切れない関係にあるのが「メンテナンス」です。
普段の運転で安心して乗ることができる、というのはもちろんのこと、買取の際にもメンテナンスの行き届いた車両は高額買取を成功させやすくなります。
今回は、トラックや重機のメンテナンスについてのお話です。
目次
メンテナンスは法律で決まっているものと、そうでないものがある!
トラックのメンテナンスについては、法律で義務として定められているものとそうでないものがあります。
法律で定められているものには次のようなものがあります。
・1年間おきに行う「車検」
・3カ月おきに行う「定期点検」
・毎日の運転前に行う「日常点検」
これらは、トラックや重機などをを運転する人に対し義務として定められているもので、違反すると罰則もあります。
個別に見ていきましょう。
毎年行う「車検」
恐らく数あるメンテナンスの中で最もなじみの深いものではないでしょうか?
一般の乗用車であれば初回は3年、2回目以降は2年おきに行う車検ですが、トラックなどの場合は8トン未満の車両は初回が2年で2回目以降は毎年、8トン以上の車両なら初回から毎年行うようになります。
車検においては、車検を行うディーラーや整備工場などに依頼して、法令に基づいた内容の点検をしてもらうようになります。
車検では自身で点検する部分があるわけではありませんので、車検のタイミングが来たら、ディーラーや整備工場へ車検を依頼します。
公道を走行させる場合には車検を行っておけば何も問題はありませんが、車検が期限通りに行われていない車両は公道を走ることが禁止されており、無車検の状態で公道を走らせた場合は
違反点数:6点
免許停止:30日間
6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金
が科されることになります。
車両の所有者のもつ敷地内に関しては、罰則が科されることはありませんが、一部敷地内であっても公道とみなされる場合もあるため、そういった場所は公道と同じように罰則の対象になってしまいます。
また、敷地内などを走行させる目的で使う車両だからと車検を行っていない場合、安全に運行するために必要な検査の1つが受けられていない状態になりますので、その分日々のメンテナンスを入念にしておかないと車体の消耗が早まってしまう原因になります。
車両の状態は買取査定の金額にも影響を与えるので、公道を走ることがなく、車検を行わない状態の車両を運用する場合は注意しましょう。
3か月ごとに行う「定期点検」
「道路運送車両法」では、トラックなどの車両を車検後3カ月おきに点検し、記録に残すことが義務づけられています。
これは、次の車検までの期間において、車両の故障を未然に防いだり、性能の低下を防いだりするために行われるべき点検で、これを怠った場合、故障や事故の原因になるため、車検と同様に非常に大切な点検だといえます。
定期点検は、国家整備士資格の2級以上を持っているものが整備主任者か検査員に選任されることで実施することができます。
また、社員に国家整備士資格2級以上を取得している人が居るのであれば、整備主任者もしくは検査員に選任することによって自社で行うことも可能です。
3カ月点検は車検と同様、整備に必要な設備と人員によってしっかりとした点検・整備が行われるため、これが行われていないと法令上の罰則があるということ以上に、故障や不具合、そして事故につながりやすくなってしまうので、忘れずに3カ月おきに行っておきましょう。
日々の運転前にチェックする「日常点検」
一日の運転前に実施するのが「日常点検」です。
定期点検と同様、道路運送車両法によって義務付けられているもので、一日の運転を開始する前に車両に異常が起きていないか確認するものです。
ここまでに紹介した2種類の点検方法は、自身が行うものではなく、あくまで整備のための人員や設備などの準備が整った場所で「やってもらう」もののため、注意をするのはあくまで「忘れず定期的な点検を依頼すること」でした。
しかし、日常点検はドライバー1人ひとりが適切に行い、整備管理者に提出して乗務開始前の点呼を受ける必要があるため、その方法にはいっそうの注意が必要です。
定められたチェック要綱に従い、以下のチェック項目を不具合がないかをチェックしていきます。
【チェック項目一覧】
①点検前に
・前日までの異常箇所の確認②車の周りを1周しながら
・タイヤの空気圧
・タイヤの亀裂や損傷、異常摩耗
・タイヤの溝の深さ
・ディスクホイールの取り付け状態
・冷却水の残量
・エンジンオイル残量
・バッテリの液量
・エアタンク内の凝水③キャブをティルトして
・ファンベルトの張りや損傷⓸キャブをおろし運転席に座って
・パーキング、ブレーキレバーの引きしろ
・ウィンドウォッシャーの液量、噴射状態
・ワイパーのふき取り状態⑤エンジンを始動して
・エンジンのかかり具合や異音
・エンジンの低速、加速の状態
・空気圧の上昇具合(エアブレーキのみ)
・ランプ類の点灯、点滅や汚れ、損傷状態
・ブレーキペダルの踏みしろ、効き具合
・ブレーキバルブからの異音
・ブレーキチャンバのロッドのストローク
・ブレーキドラムとライニングの隙間
乗車前にドライバーが確認することはこれだけあります。
非常に多いと思われるかもしれませんが、逆にこれくらい細かくチェックをしないと安全に運行することができないということです。
必ず乗車前には点検を行い、安全にトラックを運転しましょう。
義務ではないけれどやっておきたい!メーカー推奨整備とは?
ここまでに紹介した点検は全て法律によって義務化されているものであり、公道でトラックを運用する場合はいずれも行わなければいけないものでした。
ここからは、安全基準を満たしたうえで、さらに快適に運転できる性能を発揮するためにメーカーに推奨されている整備についてご紹介します。
メーカー推奨整備は、トラックや重機のメーカーが、車種や架装など、車体に合わせてより効果的に車両を運用することができるように推奨している整備のことです。
メーカーごとに仕様の違う車体があれば、最適なメンテナンスの方法にも違いがあります。
基本的には購入した車両の取扱説明書に方法が記載されているほか、メーカーのホームページなどで調べることができます。
導入した車両に合わせてメンテナンスの方法や、日々の点検において方法などを詳しく説明されているため、義務として定められている点検と並行して行っておくことによって、より長く、より安全に、より快適に運転することができるようになります。
そして、メーカーに推奨された整備方法はその車両にとって最適な整備方法であるため、買取に出した際の査定額にも好影響を与えるのです。
しっかりと整備を行って、トラックや重機の安全性や快適性を高め、最後は喜ばれる形で売却しましょう。