買取のタネ

「過積載」の危険性とトラック買取への影響とは?

ここのところ、死亡事故発生の原因となって大きな問題となっている「過積載」
過積載は、トラックやダンプなどの車両に貨物を規定の積載量以上に乗せて走行する、道路運送車両法の違反行為のことです。


制動距離が増えバランスが悪くなりやすくなったり、貨物が落下したりといった危険性や、道路の路面に傷を与え、必要以上にエンジンを回すため騒音の公害がおこるなどの被害を与えることがあり、法律違反ということ以上に非常に危険です。
今回はトラックの運送業界に密接に関係している「過積載」についてのお話です。

なぜ過積載が起こるのか?

そもそも、なぜ過積載が起こってしまうのでしょうか?

ことの起こりは、規制緩和で運送業界への参入が容易になったことでした。
規制緩和の結果、業界内に激しい競争がおこり、運賃に対して荷主側から値引きの要求が強くなってきました。

日々強まる値引きへの要求に対し、運送会社はコスト削減を行うことになりますが、人件費の削減や効率アップのためのシステムの導入などを行うことで対応してきました。
しかし、中にはこの方法で対応できない運送会社も存在します。

運賃を積載した重量に合わせて支払う形式で契約している場合、トラック1台にたくさん積むことによって運賃を上げるという対応をしないと、一度の運搬で得る利益が大きく減ってしまうため、無理やり規定量以上の荷物を積んでしまうのです。

また、燃料サーチャージという、輸送のために発生する燃料のコストを運賃とは別に徴収できる制度がありますが、交渉において荷主の立場が強く、燃料代の高騰分を運賃に上乗せできない状況も過積載発生の原因の1つだと言われています。

他に、運送業者自身の方針として行っている場合もあります。
例えば土砂禁ダンプなどは、元々は比重の軽いウッドチップなどを載せて走行できる車両です。
しかし土砂禁ダンプは荷台の背が高く、容積としては非常に多くのものを載せることができる車体です。そこで土砂禁ダンプにウッドチップよりも比重の重い土砂を載せて走行して運送効率を上げる、ということが取り締まりの比較的緩やかだった1980年代にはありました。

土砂禁ダンプについてはこちらの記事でご紹介しています…土砂禁ダンプを高く売るためには?

同様に、コストダウンではなく、1度の運送でより高い利益を得るために、規定の積載量を超えて運搬する運送業者も少数ですが存在します。
基本的に過積載は運送会社自身の意思で行われるか、荷主側の要求に応えるためにやむを得ず行っているという2通りの場合があるのです。

取り締まり強化?過積載をした際の責任と罰則とは

さて、現在「過積載」は非常に大きな問題となっています。
特に、過積載が発覚したとき、一体「誰に」責任があるのかという問題が大きかったのです。

かつてはドライバーや運行管理者などの運行する側の人間に対してのみの罰則だったため、荷主がリスク無く過積載になるほどの量を積載する要求が容易にできてしまっていました。
現在は法改正により、過積載での走行の責任は、車両を運転しているドライバー、運送の指示を出している上司や会社、そして依頼した荷主の3者にあり、過積載が発覚した場合はそれぞれに罰則が与えられるようになりました。

荷主にも罰則が与えられている背景としては、前述のように最大積載量の規定を超えていると知りながらも、荷主側の意向で「仕方なく」過剰に荷物を積み込んでしまうケースが非常に多かったためです。
それぞれの罰則を見ていきましょう。

まず、運転していたドライバーの罰則は

規定値の5割未満の場合:違反点数2点・反則金3万円
規定値の5割以上10割未満の場合:違反点数3点・反則金4万円
規定値の10割以上(2倍以上)の場合:違反点数6点(免許停止)6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
が科されます。

また、民事訴訟で損害賠償が請求されることもあります。

次に、ドライバーの上司である事業者の罰則は

営業停止命令
運行管理者資格者証の返納
さらに悪質な場合、懲役刑や罰金刑が科されることもあります。

また、直接的な刑罰以外にも社会的信用の失墜があげられます。以降の運営に大きな影響を与えることになるのは間違いありません。
ちなみに、ドライバー=事業者が同じな場合もあり、その場合は「ドライバーへの罰則」と「事業者への罰則」の両方の罰則が科されます。

最後に、荷主側の罰則は多少状況が異なります。

まず、過積載になることを認識したうえで必要以上に載せることを要求していたかどうかが調べられます。
過積載であると認識していてドライバーに要求を行い、以降も過積載の要求をする恐れがある、と認められるときは、過積載の「再発防止命令」が警察署長から出されます。
再発防止命令に違反すると6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。

これらの罰則は「責任を取る」という観点はもちろんですが、重要なこととして過積載を未然に回避する目的で設けられている意味合いが強いです。

過積載にならないために

過積載を回避するためにドライバー側で出来ることがあります。

それは自重計を利用して、出発前に重量を計算して過積載でないことを確認することです。

特に過積載は、1㎏でも規定の重量をオーバーしていると違反になってしまううため、具体的に数値を計ることです。
積載している重量が過積載でないと分かれば安心して運行することができるようになります。

過積載をしている車両は買取査定でも減額される?

過積載をしている車両は、本来載せられる荷物の分量以上の負荷が荷台や車体全体に掛かります。
当然、車体の消耗が早くなります。特にフレームに過剰な負荷がかかっていきます。

時にはまともに走行できなくなってしまい、修理に出さなければならないこともあります。このとき修理の記録は残りますし、修理をしなくていいレベルだとしても買取に出す際に過積載になっていたような傷やへこみ、ゆがみが残ってしまうこともあります。

そうなってしまうと買取査定にも悪影響をおよぼすことになります。
基本的には減額、場合によっては買取拒否もあり得ますので、過積載の車両であるということは大きなマイナスポイントだと言えるでしょう。

万が一故障してしまった場合の売却方法をご紹介していますので、気になる方はご覧ください…故障したトラックの買取は事前に修理すべき?

今回は、法律、安全、買取と、あらゆる観点から見て過積載というのは良くないものであるとご紹介してきました。
荷主の要望、会社からの命令、というドライバー側にとって厳しい状況も、現在の法整備によって少しずつ改善して来ています。
将来、過積載がなくなり、安全な運送環境が整うことを願っています。

【関連記事:トラックドライバー必見!荷崩れに気を付けましょう

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