街中や高速道路を走行していて、大型トレーラーのトレーラーの部分に取り付けられているタイヤが、なぜか浮き上がっているのを見たことはありませんか?
「もしかして故障しているのではないか?」と思った方もいるかもしれませんが、あれは実はれっきとしたトレーラーの機能のひとつであり、必要に応じてタイヤを浮かせたり地面につけたりしています。
この機能のことを「リフトアクスル機能」と言います。
なぜわざわざタイヤを浮かせたり地面につけたりするのでしょうか。
今回は、大型トレーラーがタイヤを浮かせたり地面につけたりする理由についてご紹介します。
目次
リフトアクスル機能って何?
リフトアクスル機能とは何なのでしょうか。
リフトアクスル機能とは、積み荷の重さに合わせてタイヤを浮かせたり地面につけたりする機能のことです。
荷台に載っている荷物が一定以上の重さになったとき、自動的に作動してタイヤを地面につけて、荷物の重量を支えるようになっています。
なぜリフトアクスル機能が付いているの?
なぜわざわざタイヤを浮かせる必要があるのでしょうか。
その理由は、「走行性能」と「高速道路の料金」にあります。
走行性能
トレーラーは一般の乗用車と異なり、荷物を載せているかどうかで車両総重量が大きく変わります。
大型トレーラーが荷物を積載量いっぱいに載せているとき、それらの重さはすべてタイヤにかかります。
タイヤの個数が多いほど、一つひとつのタイヤにかかる重さは小さくなります。
そのため、重い荷物を載せて走るときには、たくさんのタイヤがあった方が楽に荷物を運べます。
一方で、荷物が載っていない状態だと、そこまで多くのタイヤは必要ありません。
地面に接するタイヤが増えると、そのぶん燃費が悪化し、タイヤの消耗も激しくなります。
荷物を下ろした状態の大型トレーラーは、全てのタイヤを地面につけておかない方が燃費もタイヤの持ちも良くなるので、リフトアクスル機能で不要なタイヤを浮かせるのです。
高速道路の料金
トレーラーの高速道路料金は、「大型車」と「特大車」の2種類があり、これらは「トレーラー部分の接地しているタイヤの軸数」で分けられています。
1軸なら大型車、2軸なら特大車です。
地域などにもよりますが、大型車は特大車に比べ、同じ区間を移動したときに4割近くも金額が安くなります。
リフトアクスル機能でトレーラーのタイヤを浮かせることによって、地面と接するタイヤを減らし、高速道路を大型車の料金で通行できます。
※注意点
リフトアクスル機能は、使い方を間違えると道路交通法違反になることがあります。
それは、荷物を載せた状態でリフトアクスル機能を使い、タイヤを浮かせた状態で走行することです。
本来、リフトアクスル機能は荷物の重さに合わせて自動的に作動するため問題はありませんが、故障していたり、違法な改造が施されていたりした場合に、リフトアクスル機能が正しく動作しないことがあります。
特に、中古のトレーラーを購入するときには注意するポイントです。
リフトアクスル機能は、荷物を載せていない状態で効率よく走行するための機能で、荷物をたくさん載せた状態で使用するように作られていません。
そのため、荷物を載せた状態でリフトアクスル機能を使って走行することは、道路交通法で禁止されているのです。
高速道路を大型車の金額で通るために、荷物を載せているにもかかわらずタイヤを浮かせた状態で不正に通行しようとしたドライバーが、道路交通法違反で逮捕されたという事例もあります。
また、荷物をたくさん載せた状態でタイヤを浮かせて走行すると、車体のバランスが崩れやすくなって横転の危険が高まったり、一つひとつのタイヤに大きな負荷がかかり、ブレーキ性能の低下やタイヤバーストを引き起こす可能性が高まったりして大変危険です。
おわりに
今回は、トレーラーのタイヤの一部が浮いている理由についてご紹介しました。
街を走るトレーラーを見かけたときには、そうしたことに目を向けてみるのも面白いでしょう。
また、上述しましたが、中古のトレーラーを購入する際には、リフトアクスル機能が正しく動作するかをしっかり確認してから購入しましょう。