全国を走り回るトラックドライバーにとって、常に乗っている車体は相棒と呼べる存在です。
より快適に作業できるように、自分なりのカスタムをしていきたいと思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、トラックのカスタムはやり方によっては違法となってしまうことがあります。
そこで今回は、トラックのカスタムの際に「どこまでが合法で、どこからが違法なのか」についてご紹介していきます。
目次
トラックのカスタムの合法・違法の判断
そもそも、トラックのカスタムでは何をもって合法か違法かを判断するのでしょうか。
トラックなどの貨物を輸送する自動車の場合、道路運送車両法や道路運送車両の保安基準等を判断のポイントとして、トラックの車体のカスタムが合法か違法かが判断されます。
トラックにおける「違法改造車」の定義とは
国土交通省は、車両を改造することに関して「道路運送車両の保安基準」で明確に「合法」と「違法」の定義を行っています。
そこでここからは、道路運送車両の保安基準で定められた、トラックの「違法改造車」の定義についてご紹介します。
道路運送車両法では、排気量ごとに車両が分類されており、
・排気量600㏄以下の車両:軽自動車
・排気量が600㏄より多く2000㏄以下の車両:普通自動車
・排気量が2000㏄より多い車両:大型特殊自動車
と分けられています。
この分類に基づいて、それぞれの車両に、改造を行う際の基準となる寸法が定められています。
排気量 | 全長 | 全幅 | 高さ | |
軽自動車 | 600㏄以下 | 3.4m以下 | 1.48m以下 | 2.0m以下 |
普通自動車 | 600㏄よりも多く2000㏄以下 | 12.7m以下 | 2.50m以下 | 3.8m以下 |
大型特殊自動車 | 2000㏄よりも多い | 12.7m以下 | 2.50m以下 | 3.8m以下 |
このように定められた寸法に対し、以下の範囲の誤差であれば問題なく運行可能です。
全長 | 全幅 | 高さ | |
軽自動車 | ±3cm | ±2cm | ±4cm |
普通自動車 | ±3cm | ±2cm | ±4cm |
大型特殊自動車 | ±3cm | ±2cm | ±4cm |
上述の数値以上の改造を行う場合、「構造変更」という扱いになり管轄の陸運支局、又は自動車検査登録事務所に構造等変更検査の申請を行う必要があります。
申請が通れば「合法改造車」として扱われ、問題なく走行することができるようになります。
基本的には、ここまでご紹介した基準に沿っていたり、申請を行って通過していれば合法とみなされます。
しかし、この基準を満たしていても、装着するパーツによっては違法として扱われるケースも存在します。
違法行為として当てはまる例
ここからは、上述の法律などに当てはめて、実際に違法行為になりえるカスタム内容についてご紹介していきます。
前面ガラス等への過度な装飾
車両前面や側面のガラスは、運転時に視界を確保する上で非常に重要な役割を持っています。
そこに、装飾版などの装飾を加えることは、視界の有効な範囲を狭めてしまいます。
そのため法令では、前面や側面等に装飾品を追加した状態での「可視光線透過率(装飾を透けて窓の外が見える度合い)」が70%未満になると、違法改造となってしまいます。
荷台さし枠の不正追加
トラックやダンプは積載できる荷物の重量が明確に定められています。
積載できる量を越えて荷物を載せると「過積載」という状態になり、道路交通法違反になってしまいます。
そして、過積載につながりかねない荷台の改造についても違法と判断されるようになりました。
具体的には、荷台の容量を大きい荷台に交換したり、荷台に多くのものを載せられるように「さし枠」を装着するなどがあげられます。
突入防止装置の改造
トラックやダンプなどの車体は、荷台の下にある程度高いスペースがあります。
ここに乗用車などが突入してしまう恐れがあるため、トラックやダンプなどの車体には突入防止装置が装備されています。
突入防止装置を取り外したり、追突防止の機能を損なうような改造を行ってしまうと違法となってしまいます。
フォグランプの色違いや点灯個数など
フォグランプは雨や霧などの時に路面の視界確保のために使用されるランプで、カスタムの際にいじりやすい場所でもあります。
しかし、フォグランプの設置にはいくつか規定があり、その規定から外れたカスタムをしていると違法となってしまうので注意が必要です。
例えば、3個以上のランプが同時に点灯する、白色・淡黄色以外の色のランプを付けるなどが違反の要件になります。
バックミラー(サイドミラー)
バックミラー(サイドミラー)のカスタムについても、気を付けなくてはいけないポイントがあります。
バックミラーは車体からせり出している位置に存在しますので、側面で何かにぶつかる可能性が車体そのものより高いパーツです。
そのため、ミラーの形状が尖っていたり必要以上に硬かったりしていると、万が一バックミラーが何かに衝突してしまったときに大きな傷をつけてしまう可能性があります。
必要以上に尖った形になっていたり、必要以上に硬かったりするバックミラーは違法と判断されることもありますので要注意です。
その他、さまざまな「違法改造」として扱われてしまう場合があります。
パーツによっては個別に判断するのは難しいケースもありますので、基本的な考え方をお伝えすると、「安全な運転に支障が出るかどうか」によって判断されると理解しておくと良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
今回はトラックのカスタマイズについてご紹介しました。
現在ではさまざまなカスタムパーツが販売されており、自分の運転に合った改造を行うことができます。
ルールを守って、快適で効率よく車両を運営しましょう。