PTOという言葉を聞いたことはありますか?
聞きなれない単語かもしれませんが、実はダンプトラックの中で非常に重要な役割を持つパーツです。
今回は、このPTOを構成する重要なパーツの1つ、「PTOシャフト」についてご紹介していきます。
目次
PTOとは
そもそも、PTOとは何なのでしょうか。
PTOとは、「Powor-Take-Off(パワー・テイク・オフ)」の頭文字をつなげたもので、荷台のダンプアップやクレーンの吊り上げ、ミキサーの回転など、さまざまな機能を使用するために、エンジンで発生した「本来車両の走行に使われるエネルギー」を取り出すパーツです。
トラックだけでなく、重機や建機、農機などにも採用されており、さまざまな業界の自動車に欠かせない存在です。
PTOには、目的に応じたいくつかのバリエーションがあります。
・トランスミッションの横に取り付けられ、主に車両が止まっている時に作動する「トランスミッションサイドPTO」。
・ミキサー車のように常に荷台の架装を動かさなければいけない車両で、走行しながらPTOが作動できるように、エンジンに直接取り付けるタイプの「フライホイールPTO」。
・消防車のような大きなエネルギーが必要な車両に装着される、エンジンから生み出されるエネルギーを100%引き出すことができる「中挾みPTO(別名フルパワーPTO)」
などです。
PTOの仕組みとしては、エンジンが回転するエネルギーを「油圧」へと変換するのが一般的で、油圧で動く架装にはほぼPTOが装備されていると考えて良いでしょう。
油圧については、こちらの記事でさらに詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
「油圧」について詳しくはコチラ…トラックや重機に必須!油圧について
PTOで変換されたエネルギーは、「PTOシャフト」と呼ばれる装置で油圧ポンプへと伝達されます。
さまざまな技術が詰め込まれたPTOの装置のなかで、使い方によっては劣化が激しくなる「PTOシャフト」などは、定期的にメンテナンスしておくべきパーツの1つです。
※ちなみに、ダンプトラックなどでは、走行中にPTOが誤作動して突然ダンプアップしないように、「PTOスイッチ」という装置が存在し、ギアがニュートラル状態でなければPTOが作動しないようになっています。
PTOシャフトのメンテナンス
PTOシャフトはPTOが作動するとき、エンジンで発生したエネルギーを油圧装置に送り込むために、大きな負荷がかかります。
そのため、摩擦が起こりやすい場所に対して定期的にグリスアップを行ったり、PTOシャフトの劣化度合いが酷い場合には交換しておかなければ、作業中にうまく荷台の装置が作動しなかったり、作業中に故障が起きたりする可能性が増えてしまいます。
しかし、PTOシャフトやPTO本体は、特に用事がある訳でもなければ滅多にメンテナンスすることがなく、万が一異常があった場合にも気づきにくいパーツの1つです。
定期的なメンテナンスをするために、「日常点検」を徹底することをおすすめします。
日常点検は、普段トラックを使用する際、出発前に車体のさまざまなところを点検することで、商用車を公道で運電する際には必須とされています。
過去の記事で、日常点検についても触れていますので、そちらも参考にしつつ、PTOシャフトの点検も併せて行うようにすると良いでしょう。
日常点検など、メンテナンスに関してはコチラ…【高く売る】トラックメンテナンスについて【長く乗る】
PTOシャフトをメンテナンスする時の注意点
さて、ここまでPTOシャフトのメンテナンスについて簡単にご紹介しましたが、実はPTOシャフトをメンテナンスする際に、注意すべきポイントがあります。
PTOシャフトは大まかに言うと、「ユニバーサルジョイント」というPTO装置や油圧ポンプと接続するジョイント部分と、それらの間をつなぐ「ドライブシャフト」で構成されています。
ユニバーサルジョイントはさびなどの劣化が起こりやすいため、交換を行うことが多いですが、交換時に指を挟んだり、腰を痛めたりするケースがあります。
ユニバーサルジョイント部分は大きさの割にかなり重く、扱いに注意が必要なパーツです。
指を挟んでしまうと、「痛い」では済まない大けがになることもあります。
姿勢も中腰になることが多いので、腰のけがにもつながりやすいです。
また、接続部分のグリスアップのためにグリスを塗ることもあり、滑りやすくなるのでPTOシャフトを足の上に落としてしまい、足を骨折してしまったケースもあります。
取扱説明書などに、正しい交換や管理の方法が書かれていますので、安全に気を付けながらメンテナンスするようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。
今回は、あまり目立つパーツではないものの、”荷台が動作する”トラックを動かすためには欠かせないPTOについてご紹介してきました。
これが無ければダンプトラックの荷台は持ち上がりませんし、ミキサー車のミキサーは回転しません。
とても大切なパーツなので、しっかりと点検、整備して、快適に作業できるようにしておきましょう。