トラックに限らず、車両が公道を走るためには必ず行わなくてはならないのが車検です。
しかし、実は私有地の走行などの使い方でトラックを運用するのであれば、車検は必須なものではありません。
そのため事業用トラックなどは、自社所有の私有地内での使用を目的として、車検を通さず使用していたり、あるいは事故や故障などの影響でもう使うことがない、といった理由から「車検に出さない」ことを選択した方もいるかと思います。

しかし、車検切れのトラックを保有していると、さまざまなリスクやコストが発生します。

まず、当たり前ですが公道を走行することができませんので、自社所有の敷地外でその車両が必要になったり、あるいは別の場所への移動をしなければいけない場合、そのままの状態で自走させることができません。
車検を取り直すか、レッカーなどの移動手段を用意する必要があります。

他に自動車税の問題もあります。たとえ車両を運用していなくても、車両を保有しているだけで自動車税は必ずかかってきますので、特に「トラックが故障して全く運用しなくなった」という場合、コストだけが発生し車両が利益を生まない状態になってしまいます。

そうした、車検切れのトラックをどうにかしようと思ったときに、車両の処分を検討するのではないでしょうか。
トラックを処分しようと思ったら、考えられる選択肢の1つが「中古トラックの買取」ではないかと思います。
しかし、車検が切れている（あるいは車検をそもそも通していない）車両は買い取ってもらえるのか不安だ、という方もいるかもしれません。
今回は「車検切れ」のトラックの買取が可能なのか、その根拠も一緒にご紹介します。

車検切れのトラックは売れるのか？

結論から言うと、車検切れのトラックを「トラック買取」で買い取ってもらうことは可能です。

その理由の1つは、トラックの買取業者の販売経路にあります。
トラックの買取を行っている買取業者の販売経路としては、国内や海外への販売、オークションへの出品、パーツ単位での販売などがあります。

車検切れの車両で関連性が高いのは「海外への販売」と「パーツ単位での販売」です。
「海外への販売」の場合、重要になるのは車両の状態です。
日本国内での車検制度の影響がないため、シンプルに「車両」そのものの状態を見て販売額が決まることが多いです。
（もちろん、車検証などに記載されている情報は、新しければ新しいほど販売の評価が上がりますので、最近まで車検を通している方が査定の評価は高くなります。）

そのため、海外に販売経路がある買取業者にとって、「車検が通っているかどうか」よりも、「車体の状態が良いかどうか」の方が買取査定の時に重要視されますので、基本的に車検が切れていたとしても、車体のどこにも異常がなければ何も問題なく買取を行ってくれるのです。

パーツ単位での販売については、事故や故障などで車体のどこかに問題があり、車両1台単位で販売できなくなってしまった場合に買取業者が取る方法です。

このとき、損傷個所によっては値段が大きく変動することがありますが、買取不可となることはほとんどありません。

事故や故障の状態と買取との関係についてはコチラ…修復歴とは？修理歴とは違うの？

車検は受け直さなくてもよい？

ここまで、トラック買取では車検切れの車両でも、問題なく買い取ってくれる、ということをご紹介しました。

しかし、「せっかくなら、車検切れの車両の車検をもう一度通しなおしてしまった方が、高く買い取ってくれるのではないか？」と思うかもしれません。

実際、車検を受け直した場合と受け直さなかった場合だと、査定金額はどのように変わるのでしょうか。
車検を受け直した場合、確かに査定度の評価は上がります。
しかし、査定金額への反映がそこまであるかというと、実はそれほど大きくはありません。ほとんどの場合、車検を受け直すコストと査定額の上昇値で計算したら、コストの方が大きくなるケースが多いようです。

そのため、車検は無理に受け直す必要はないのです。

むしろ、車検切れの車両を売却をするのであれば、売却前に行うべきは車検よりも「定期点検」や「日常点検」、あるいは「メーカー推奨の点検」などです。

車検は単に公道を走行するうえで必要な最低基準を定め、必要なら適合するように整備を行う、というものです。
言い換えれば、公道を走行できる状態なら車検は通ってしまう可能性が高いので、車検の対象になっていない部分が故障していても気づかず、以降の車両運用に支障が出てしまうリスクがあります。

車検に対し、定期点検や日常点検、メーカー推奨の点検は、トラックを永く、効率よく、そして安全に運用していくための点検です。
実用に耐えるという意味では、車検よりも重要度が高いものです。

もちろん、使わなくなってから売却までの期間、ずっと点検を行い続けていくのは難しい、ということもあるでしょう。

そんな時は、売却する直前に、メーカーによる点検・整備や、車内・外装などの清掃をしておくことで、買取査定の結果を良い方向に導きましょう。

車検切れの中古トラックを売却するときの注意点

車検切れの車両を売却する際に、注意しておくべき点が1つあります。
最初にお話した通り、車検切れの車両は公道を走ることができません。そのため、買取をしてもらう場合はレッカー車やキャリアカー、ローダー車などを使って買取業者に運んでもらうことになります。

買取業者の中には、この移動を行うために使う車両の「輸送費」が、かかるところもあればかからないところもあり、どちらの場合でも、優良な買取業者であれば、事前に問い合わせたときに輸送費がかかるかどうかを聞くと答えてくれます。

車検切れのトラックを売却する際は、買取業者に車の移動や出張査定の費用など、どのような費用が掛かるのか、ということについて事前に確認しましょう。

いかがでしたか？
今回は、車検切れの車両がどのようなものか？売却は出来るのか？また、売却する時のコツや注意点などをご紹介しました。

車検切れのトラックでも「絶対売れない」ということはありません。一度買取業者に問い合わせてみて、不安なことを全て聞いておき、最高の形で手放せるようにしましょう。