トラックの車体下部に取り付けられているスペアタイヤ。
2018年10月には大型トラックのスペアタイヤの点検が義務化されたことも話題になりました。
今回は、走行中のタイヤにトラブルが起こった時に使用される「スペアタイヤ」についてご紹介していきます。
目次
スペアタイヤとは?
スペアタイヤとは、読んで字のごとく「スペア(予備)」のタイヤのことです。
走行中のタイヤがパンクなどのトラブルに見舞われたときに、タイヤの修繕を行うには時間や手間がかかりすぎるため、既にホイールに装着してあるスペアタイヤを付け替えることによって、手早く自動車を走行できる状態にすることが可能です。
最近では、タイヤの修理キットなどの充実から、スペアタイヤが乗用車に載っていることは少なくなりましたが、トラックでは装着義務があるパーツの1つなので、スペアタイヤは1台にひとつ、必ず装着されています。
トラックのスペアタイヤは乗用車のスペアタイヤとは違う?
実は、トラックのスペアタイヤは一般の乗用車のスペアタイヤとは全くの別物です。
乗用車のスペアタイヤは「テンパータイヤ」と言い、普通のタイヤに比べてやや小さくて細めのタイヤが装着されています。
スペースや重量の関係で、乗用車にはテンパータイヤが搭載されていますが、トラックのように「より安全な走行が必要な車両」には、テンパータイヤは採用することができませんので、普通のタイヤと同タイプのスペアタイヤが搭載されているのです。
スペアタイヤを付け替える際の注意点
トラックのスペアタイヤの付け替えを行う場合は、いくつか注意点があります。
タイヤが重い
トラックのスペアタイヤの特徴として、「タイヤが重い」というものがあります。
大型トラックのものになると、ホイールと合わせて80㎏~100㎏近くもの重量になります。
タイヤの規格や車種によって正しい取り付け方は異なりますが、自身で取り付けられるかどうかの判断は、事前に会社と打ち合わせておくと良いでしょう。
自身での付け替えが困難な場合は、付近のロードサービスや、会社で契約している修理工場などに交換依頼を行うと良いでしょう。
※大型トラックやトレーラーの場合、自力での交換はほぼ不可能です。
トラックを停める場所に要注意
タイヤのパンクのような緊急事態が起こるのは、基本的には道路上です。
そんな時、スペアタイヤの交換など、いろいろなことが頭をよぎるかとは思いますが、まず何よりも優先して行うべきことがあります。
それは「安全に停車すること」です。
走行中にタイヤがパンクした場合、周囲の交通状況によっては、外に出ることもままならないケースもあるかと思います。
その場合には、ハザードランプを点灯させ、徐行ぐらいのスピードで無事に停車できる場所を探すなど、安全に停車できるように動いていきましょう。
高速道路の場合は、広い路肩や路側帯などの安全な場所に停車し、ハザードランプ、発煙筒、停止表示機材などで後続車両に「トラックが停止していること」を伝えて、110番や道路緊急ダイヤル(番号は#9910番)に通報し、歩き回らないように待機しておきましょう。
トラックのスペアタイヤはどこまで乗れるの?
トラックのスペアタイヤは、通常のタイヤと同じ性能を持つタイヤなので、基本的に普通のタイヤと同じ距離だけ走行できると考えられます。
しかし、注意が必要な点として、スペアタイヤはそれまで地面に接していないので、他のタイヤと空気圧や表面のすり減り具合が異なり、トラックを運転する際にややバランスがとりにくいことが挙げられます。
さらに、トラックの日常点検ではタイヤの空気圧に関するチェック項目がありますが、スペアタイヤに関しては「必要に応じて行う」とされていますので、それぞれの事業者や整備担当者、ドライバーにチェックの判断をゆだねています。
タイヤの空気圧が少ないまま走行すると、パンクやバーストの危険性が跳ね上がります。
「ドライバー自身がスペアタイヤの空気圧のチェックを行っている」「事業者や整備担当者が行ったチェック項目を、ドライバーが確実に把握している」などにより、確実にスペアタイヤの空気圧の調節をしていると分からなければ、いつスペアタイヤにトラブルが発生するかわかりません。
これらのことから、スペアタイヤに変更してからは、あまり長期間の走行はおすすめできません。
スペアタイヤの点検が義務化
さて、2017年に岡山県津山市で起きた、トラックのスペアタイヤの脱落が原因で2名の死亡者が出た事故を受け、大型トラックのスペアタイヤの3ヶ月ごとの点検が義務化されています。
トラックのスペアタイヤは、トラックのボディ下部に固定しています。
このとき、スペアタイヤをボディに固定するための、チェーンブロックが正しく巻き取られていないことが、スペアタイヤ脱落の大きな原因となります。
今回の事故も、このチェーンブロックが正しく巻き取られていないことによる、スペアタイヤの脱落によって大きな被害を生んだ、とされています。
スペアタイヤの点検の義務化について、詳しくは以前の記事でご紹介していますが、簡単に説明すると「大型トラックのスペアタイヤの取り付けが正しく行われていて、簡単に外れたりしないか」という点検を、3ヶ月に1度行うよう義務付けたものでした。
このことからもわかるように、今回の規制の対象は「大型トラック」であり、小型、中型のトラックは対象からは外れています。
しかし、小型トラックでも中型トラックでも、タイヤが落下した場合に事故が発生する可能性は無視できません。
より安全に配慮するのであれば、小型トラックや中型トラックでも、定期点検とは別に、自主的にスペアタイヤの取り付け状態をチェックすることを推奨します。
トラックのスペアタイヤ点検義務化について詳しくはコチラ…大型トラックのスペアタイヤ、点検義務化へ
いかがでしたでしょうか。
今回は、トラックのスペアタイヤについてご紹介しました。
その名の通り、トラックのスペアタイヤは万が一のときに使用する「スペア(=予備)」のタイヤです。
いつでも使用できるように、空気圧などの用意をしておき、使用中のタイヤがパンクした際に備えておきましょう。