「NOx・PM法」というのをご存知でしょうか。
平成13年の6月に自動車NOx法の改正案として制定されたこの法律は、一言でいうと「排気ガスによる大気汚染を防ぐ法律」です。
具体的には、ディーゼルエンジン車の排ガスから出るNOx(窒素化合物)とPM(浮遊粒子状物質)の排出量が、特に日本国内の都心部でひどく多くなってきたことを受け、一定量以上の窒素化合物と浮遊粒子状物質が排出される車両の走行を制限する、という内容の法律です。
この規制によって、大都市エリアにおいて規定値以上のNOxとPMを排出するディーゼルエンジン車は、エリア内での車検を通すことが出来なくなってしまいました。
車検を通すことができないということは、その車両は対象地域内に本拠をおくことができない、ということです。
今回はNOx・PM法の規制に対するメーカーの対応と、規制によって起こる買取への影響についてご紹介します。
目次
新車は製造時に、既存車両は後付けのフィルター装着で対応!
NOx・PM法の施行に対しては、各車両メーカーやフィルターのメーカーが様々な対策を講じています。
具体的な対策としては、「NOx・PM法に適合するようなシステムを導入した車両の開発」と「既存の車体の排気部分に取り付ける専用のフィルターを開発」という方法があります。
「NOx・PM法に適合するようなシステムを導入した車両の開発」では、規制実施の発表を受けたトラックメーカーが規制実施のタイミングまでに規制内容に適合する車両、すなわち排気量を抑えた車両の開発を行い、以降、指定地域内でも対応できるような車両が現在でも使われています。
既存の車体に専用のフィルターを装備する方法は、フィルターを製造している会社により開発された「DPF(ディーゼル微粒子補修フィルター)」という専用のフィルターを取り付け、排気ガス内のNOxとPMの量を規定量に抑えるというものです。
これらの対策は、ユーザーにとってそれぞれメリット・デメリットがあります。特に中古車の購入や売却を行う際には気を付けておくべきポイントですのでご紹介しましょう。
まず、トラックの購入時について。各トラックメーカーによって規制の実施後に発売された車両ですが、新車の場合は言わずもがな、中古車の場合でも比較的年式が新しいため高額で販売されていることが多いです。
そのため入手には若干金銭的なハードルが高いものの、ほぼ確実に規制をクリアしているため、NOx・PM法の地域などをほとんど気にすることなく車両を選び出すことができる、という大きなメリットもあります。
また買取に出す際には、「トラックメーカーによる純正システム内で規制をクリアしている」というポイントは非常に高評価になります。
そのため購入後のことを考えるのであれば、トラックメーカーによって規制をクリアした状態で開発された車両の購入をおすすめします。
NOx・PM法の対策がされた新車を購入するのではなく、既存の車体にフィルターの装着によって対策をする場合、手持ちのトラック等のディーゼル車に適合したフィルターを探すところから始めなくてはならないため手間がかかります。また、新車購入と比べれば安価ではあるものの、それでも50~100万円という少なくない金額が必要になります。
今後の環境問題に対し、ディーゼルエンジンで走行する車両への規制の強化が実施される可能性も十分考えられます。
規制対象の範囲によってはフィルターの付け替えを再度行わなければならない場合もあるでしょう。
リスクと金額をしっかりと計算した上で、対応していきましょう。
トラック売却の際は、NOx・PM法って金額に影響するの?
NOx・PM法に適合している車両では特に気にする必要がありませんので、今回の記事ではNOx・PM法に適合していない状態のトラックを売却する際のポイントをご紹介していきます。
NOx・PM法に適合していない車両の売却の際には買取業者の選別が大切なポイントになります。
何故かというと、買取業者が車両を買い取った後の行動に理由があります。
トラックの買取業者のほとんどは、買い取った後の車両を国内外へ販売することによって利益を出しています。
トラック買取を行った後で販売を行う際に、NOx・PM法の対象となる地域が販売先として入っている買取業者の場合、「NOx・PM法非適合車両」を買い取ってしまうと販売するときに利益が出にくくなるため、査定価格が低くなりやすいという傾向があります。
逆に、買取を行った後の販売先に規制地域以外の地域がある買取業者の場合、規制の影響なく買い取った車両を販売することができるので、買取の際の査定への影響も小さく済むのです。
どのように探せばいいか、分かりにくいかもしれませんので、探し方の1つの基準をご紹介します。
それは、海外に販売経路を持っている買取業者を探すことです。
海外に販売経路がある買取業者を探す理由としては、日本国内の規制の影響を受けないという点と、日本製のトラックやダンプといった車両が安全性や信頼性の高さから人気であるという点。
それら2つを合わせ、日本製の車両は海外では高額で販売できる可能性が高いということが大きな理由です。
結果、海外に販売経路がある買取業者は、規制が査定額に影響を与えることが少なく、高額で買い取ってくれる可能性が高いのです。
NOx・PM法は平成13年から実施され現在も続いている法律です。
対象地域で新たに拠点を持ち、中古の車両を入手する場合は、適合しているかどうかに気を付けましょう。
また、現在NOx・PM法に非適合の車両を持っており、売却を考えている方はしっかりと買取業者を選び、不安なら直接相談して最終的に上手に手放すようにしましょう。