毎年多くの台風がやってくる台風大国の日本。
台風が訪れると激しい風にあおられ、ときには家屋が吹き飛ばされることもあります。
そんな中でも、日本の経済を支える運送会社のトラックは走り続けています。
台風などの危険からトラックを守り、物流が継続的に機能できるように、国土交通省は2020年2月28日に、台風を含む異常気象の際にトラックを運行できるかどうかを判断するための目安を設定すると発表しました。
今回は、台風などの異常気象時に運送会社がどのように対応すればよいかについてご紹介します。
目次
国土交通省が異常気象時の運送会社の対応について目安を発表
まずは、国土交通省が発表した、台風などの異常気象時の対応についての目安がどのようなものかをお伝えします。
昨今、台風の接近中のように、トラックが安全に走行することが困難な状況にもかかわらず、さまざまな事情で無理に運行した結果、横転事故などを起こすケースがあります。
ドライバーの身に危険が及ぶほか、運送会社にとっても行政処分が行われるリスクがあったり、事故によってドライバーや車両が不足して運行計画に狂いが生じたりするため、何らかの対策が必要でした。
そこで、台風などの異常気象時に、運送会社や荷主がどのように対応すればいいか判断し、危険な運行を無理にしなくて済むような目安を定めました。
今回の発表で目安が定められたのは「降雨量」と「風速」の2項目で、「1時間当たり50㎜以上の降雨時」、または「風速30m以上の暴風時」に輸送することは「適切でない」としました。
また、運行する地域で大雪注意報の発表があった場合には、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどを装着したり、安全に運行できる速度で走行したりするなどの措置を講じるべきと発表しました。
これらの状況で運行を中止しなかったり、安全な措置をとらずに運行した場合には、運送会社に行政処分が行われる可能性があります。
国土交通省の監査によって、異常気象時の適切な措置を講じずに輸送したことが発覚した場合、「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について(平成21年9月29日付国自安第73号、国自貨第77号、国自整第67号)」に基づいて行政処分を行うことが発表されています。
そして、危険な状況下で運行を強要した荷主に対しては、改正貨物自動車運送事業法が定める国土交通大臣の「働きかけ」が行われることになりました。
このことから、危険な運行をしなければならないリスクをある程度抑えられるようになります。
【参考資料:報道発表資料『~輸送の安全を確保するための措置を講じる目安の設定~ – 国土交通省』http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000210.html】
まずは荷主と相談し、具体的な対応を決めよう
今回の発表はあくまで対応の目安であり、具体的な措置の方法に関して「荷主と事業者が、輸送の安全確保について配慮した上で具体的な取り扱いを定めることは差支えない」としています。
つまり、今回の目安をもとにそれぞれの運送会社と荷主がしっかりと相談し、実際に異常気象に見舞われたときにどうすべきかを取り決めておくことが重要です。
運行を中止する際の連絡手段や代替案、スケジュールの調整や補償など、決めておくべきことは沢山あるので、新規の荷主はもちろん、すでに契約している荷主とも改めて相談して異常気象時の対応を決めましょう。
おわりに
今回は、国土交通省が発表した報道資料をもとに、異常気象時に運送会社がとるべき対応と、事前に行っておくべき荷主との相談についてご紹介しました。
台風の接近中や直撃時に、ドライバーが行うべき対処については、過去の記事でもご紹介しているのでそちらもぜひご覧ください。
【関連記事:トラック運転中に台風が迫る!運送会社が行うべき台風対策とは】
安全に運行するためにも、運送会社だけでなく荷主の担当者も含めて、今回の発表をもとに十分に相談しましょう。