これから寒くなってくると、降雪による路面の凍結などにも注意しなければならなくなってきます。
以前、路面凍結対策の記事でもお伝えしましたが、タイヤを変えたり運転方法を工夫することによって、ある程度凍結した路面への対策ができます。
また、自治体などが、路面の雪を解かす融雪剤を使用することで、雪道への対応を行っています。
しかし、実はこの融雪剤は、自動車にとってはあまり良いものではなく、劣化の原因になってしまうこともあります。
そこで今回は、融雪剤がトラックに与える影響や、融雪剤への対策についてご紹介していきます。
目次
融雪剤とは
まずは、融雪剤とはどのようなものかについてご紹介していきます。
融雪剤とは、塩化ナトリウムや塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどを成分とする粉末で、雪や氷などの水分と反応すると、熱を発生させたり、凝固点(液体が固体になるための温度)を下げたりすることによって、雪や氷を水に変える効果を持っています。
そうやって、雪が積もっていたり凍結した状態の路面を、自動車が走行できるような状態にします。
融雪剤が溶けた場所は「塩水」に
融雪剤の成分名からも分かるように、融雪剤にはいわゆる「塩」が使われています。
融雪剤を散布した場所の雪や氷は水になりますが、正確には「融雪剤が溶けた状態」の、いわゆる「塩水」となって広がっています。
この塩水ですが、融雪剤に含まれている塩分は、海水の10倍以上の濃度があるため、この融雪剤が溶けた場所の塩分も非常に多くなります。
そして塩分は、トラックなどの金属を使用している自動車に対しては「天敵」ともいえる存在です。
塩分は「錆」の原因で、自動車の天敵
塩分は「錆」の原因です。
内陸を走行しているトラックと、海岸沿いの潮風が当たる場所を走行しているトラックで比較した時に、海岸沿いを走行しているトラックの方が錆びやすいという事実もあります。
路面に散布されている融雪剤も本質は塩分なので、トラックの錆の原因になります。
錆が進行すると、フレームの劣化や損傷、腐食などが起こりやすくなるため、事前に食い止めたいところです。
このように、雪が多い地域では人々の助けになる融雪剤ですが、トラックにとっては良いことばかりではないのも事実です。
トラックドライバーができる融雪剤対策
融雪剤のないところを走ることができれば苦労はありません。
しかし、それができる人ばかりではないことも確かです。
そこでここからは、トラックドライバー1人ひとりができる、融雪剤対策についてご紹介していきます。
対策①予防
融雪剤によって錆が起こりやすい場所はどこかといえば、路面に最も近い足回りではないでしょうか。
足回りは外装と違って、車体の下にあるため洗浄が難しい場所です。
さらに、足回りのフレームに融雪剤が付着したまま放置していると、他の油分などと混ざり合ってこびりついてしまい、取ろうとしても取りきれないケースもあります。
そこでまずは、「そもそも足回りに融雪剤が付着しないようにする」という対策を行っていきましょう。
融雪剤予防の代表的な方法としては、「コーティング」があります。
「アンダーコート(防錆剤)」と呼ばれるスプレーなどを使用して足回りをコーティングし、融雪剤の付着を防ぎます。
アンダーコートはカー用品店や通信販売のほか、最近ではホームセンターなどでも販売されています。
※ただし、自動車用のものとそれ以外(例えば建築物用など)のものがあるため、必ず自動車用のものを使用するようにしましょう。
対策②洗浄
できるだけ融雪剤の付着そのものを防ぐべきではあるのですが、それでも100%防ぎきれる、ということは言えません。
そのため、万が一にも融雪剤が付着してしまったときに備え、定期的に車体を洗浄するようにしましょう。
特に、上述したように融雪剤が付着しやすいのは足回りです。
足回りは洗浄が難しい場所の1つでもあります。
油分やほこりなどと反応してこびりつくとそう簡単には取れなくなってしまいます。
そのため、定期的に洗浄を行い、常に車体を清潔な状態で運用できるように維持していくことが大切になります。
足回りの洗浄をくまなく行うのであれば、「ガソリンスタンドの高圧洗浄機」がおすすめです。
ガソリンスタンドの高圧洗浄機の中には、左右や上からのみならず、下方からも水が噴出するタイプのものが存在します。
手軽に行うことができるので、融雪剤が撒かれているところを通過するのであれば、1週間に1度程度は最低でも洗浄しておいた方が良いでしょう。
いかがでしたか?
今回は、これからの時期に見ることが増えるであろう融雪剤について、トラックへの影響や対策をご紹介しました。
融雪剤は、生活の上では無いと困る人も多いものではありますが、ことトラックなどの自動車に関しては良い影響ばかりではありません。
今回ご紹介した対策は、意外と簡単に行うことができるものばかりなので、忘れずに行っておき、融雪剤による錆から車体を守っていきましょう。