近年、煽り運転でのトラブルや事故が増加しています。
2017年には高速道路で煽り運転をした上、相手のドライバーを死亡させるという事件がありました。
2019年には煽り運転で車を停車させ、相手に暴行を加えるという事件も起きています。
煽り運転はもはや「迷惑行為」ではなく「犯罪」です。
煽り運転でのトラブルに、プロのトラックドライバーが巻き込まれてしまう事案も少なくありません。
そこで今回は、煽り運転の現状と、万が一巻き込まれてしまった際の対処法や事前の対策についてご紹介します。
目次
煽り運転の現状とは
2019年現在まで、煽り運転が原因となるさまざまなトラブルが発生しています。
中には、煽り運転を行い車を停止させたうえで、ドライバーを路上に引きずり出し、結果死亡事故に発展させた例や、煽り運転を行ったうえでバイクに追突し、バイクの運転手を死亡させた例など、非常に悪質なものもあります。
このような現状を受け、2017年12月に警察庁が道路交通法における煽り運転の罰則を強化しました。
それまでは「煽り運転によって事故が発生した場合」に免許停止などの処分を行っていたものを、「危険な煽り運転によって、今現在事故に至っていなかったとしても、将来事故を起こす可能性が高い場合」に対して、免許停止などの処分が行われるようになりました。
さらに2018年1月からは、悪質な煽り運転を行ったとされるドライバーに対し、道路交通法の罰則だけでなく、危険運転致死罪や暴行罪等が適用されることとなり、より一層の罰則強化が行われました。
こうした短期間での罰則強化が行われるようになった背景には、それまでの煽り運転の発生件数の多さがあります。
罰則強化以前、上述のように煽り運転が非常に危険な迷惑行為でありながら、2016年時点で7625件(煽り運転を含む車間距離不保持の件数)もの摘発があったことが、警察庁の発表から分かっています。
この調査では、もちろん煽り運転がすべての原因とは言いませんが、仮にこの摘発件数のうち煽り運転が占める割合が1割程度だとしても、1日に2回は煽り運転が摘発されているという計算になります。
このことから、煽り運転は珍しい事故や違反などではなく、日常の中で常にあり得る違反であり、巻き込まれる可能性も十分に高いと考えられます。
その危険性を重くみた罰則の強化は当然といえるでしょう。
現在では煽り運転を受けた場合には、煽り運転を受けたことが分かる映像等とともに警察に通報することによって、事故が発生していなかった場合でも、事故に至る可能性があると判断された場合には罰則が適用されるようになりました。
そこでここからは、実際に煽り運転に巻き込まれてしまった際の対処方法と、煽り運転に巻き込まれる前に行うことができる対策についてご紹介します。
煽り運転に巻き込まれてしまった際の対処方法
もしも突然、後ろの車に煽られてしまったらどうしますか?
乗用車のドライバーにとっても言えることですが、仕事で走行しているトラックドライバーにとっては特に、煽り運転を行うドライバーは迷惑極まりない存在といえます。
煽り運転に対して適切な対処法はあるのでしょうか?
まずは「実際に煽り運転に巻き込まれてしまった際の対処方法」をご紹介します。
一般道の場合 道を譲る
一般道で煽り運転に巻き込まれた際に、よほど悪質なケースでない場合は、「道を譲る」ことによって対処することが可能です。
ほとんどの場合、煽り運転を行っているドライバーは道を譲ることで満足し、そのまま通り過ぎていきます。
コンビニなど、進入することができる場所があればそこでやり過ごすことも考えられます。
高速道路の場合 安全な場所まで移動
高速道路の場合、片側一車線でもない限りは走行車線に移動し道を譲る点は、一般道の考え方と変わりません。
しかし、煽り運転の発生件数は、(上述の警察庁がまとめた資料では)高速道路での発生件数が9割近くと、ほぼ高速道路で起こっているといっても過言ではありません。
そのため、しつこい煽り運転者の割合も多く、道を譲ったにもかかわらず追い回してくるようなドライバーも存在します。
そうしたドライバーによる煽り運転に高速道路で巻き込まれた場合には、安全に停止できる場所まで移動し、やり過ごすようにしましょう。
サービスエリアやパーキングエリア等に入り、停車して落ち着いてから、警察に通報するようにしましょう。
※このとき、間違っても高速道路の路肩に止めないようにしましょう。
高速道路の路肩に停車中に事故が発生するケースも非常に多いです。
警察への通報時に伝えるべきこと
・自分の名前
・現在地
・現在の状況
・煽り運転に遭った際の状況
・相手の車両の特徴(車種、色、ナンバーなど)
これらのことは、とっさに話すことが難しいこともありますので、緊急のマニュアルとしてグローブボックスなどに備えておくとなお良いです。
また停車時に、煽り運転をしてきたドライバーが車外から何かしら攻撃をしてくる場合もあります。
その場合には、車体のカギをロックし、落ち着いて警察に通報してください。
煽り運転を行う人、特に道を譲った後にさえ付きまとってくる人の精神状態は、まともとは言えません。
間違っても自分も外に出て対応しようとはしないでください。何をしてくるかわからないため、非常に危険です。
煽り運転への事前の対策
煽り運転に対して事前にできる対策として有効なのは、やはり「ドライブレコーダー」の導入でしょう。
最近では、煽り運転の罰則強化によってドライブレコーダーの需要が高まっているおかげで、さまざまな価格や機能を持ったドライブレコーダーが各メーカーから販売されています。
煽り運転対策としては前方と後方の両方に装着できるタイプが良いでしょう(煽り運転は基本的に後ろから行われます)。
ドライブレコーダーを導入しておくことによって、「煽り運転を受けた際の危険度がどの位か」を判断することもできますし、車種やナンバーを映像記録として押さえておくことができます。
通報時に大きな力になってくれることは間違いありません。
また、煽り運転を引き起こさせない運転をすることも大切です。
煽り運転をする人の精神状態は普通ではありません。
怒りと興奮で正常な判断ができなくなっています。
しかしこれは、「煽り運転をする人の人格の問題」なのでしょうか。
実はそうではありません。
自動車を運転する人は、程度の差はあれど誰もが怒りっぽくなり、乱暴な運転をするようになると、心理学の研究で明らかになっています。
「普段は理知的でおとなしい人でも、自動車を運転するときに人が変わったようになる」というのは、特殊な誰かのことを指したものではなく、だれもが起きうる現象なのです。
だからこそ、周りを走っているドライバーの怒りを誘発するような、「無理な割込み」や「急ブレーキの連続」、「高速道路の追い越し車線に居続ける」などの行為をしないようにすることが大切です。
いかがでしたでしょうか。
今回は、近年大きな問題になっている煽り運転についてご紹介しました。
実際に煽り運転に巻き込まれる前に、事前の対策を行っておきましょう。