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トラックのオーバーヒートについて【症状と対処法】編

トラックを運転する上で、気を付けなければいけない事の1つが走行中の車体トラブルです。
中でも、オーバーヒートは非常に危険で、走行中に起こってしまった場合、エンジンがストップする恐れがあり、車体に深刻なダメージを与えてしまうほか、大事故が発生する原因となってしまう恐れがあります。
そこで今回は、オーバーヒートの症状と対処法についてご紹介していきます。

【関連記事:トラックのオーバーヒートについて【原因と予防法】編

トラックのエンジンのオーバーヒートとは

さて、そもそもトラックのエンジンのオーバーヒートとはどういうものなのでしょうか。
基本的にオーバーヒートはエンジン内部にあるラジエーターの、「LLC (ロングライフクーラント=冷却液)」の機能が低下したことによって引き起こされます。

LLCはエンジン内部の冷却を担っているパーツの1つで、LLCが劣化したり、ラジエーター内部のLLCの量が少なすぎたり、LLCに異常が起きたりすると、エンジン内部のガスケットが破損したり、エンジンそのものが焼き付いてしまい、結果としてエンジンのオーバーヒートにつながります。
また、エンジンの冷却システムが、何らかの形で故障してしまった場合にも、オーバーヒートが起こります。

オーバーヒートはエンジン内部の熱が逃げられず、そのまま温度が上昇してしまうことによって引き起こされるため、アイドリング中はもちろん、走行中に発生するケースが非常に多いです。
特に運送業で働くトラックの場合、移動には高速道路を使用するところも多く、高速道路の走行中にオーバーヒートが起こると、大事故の危険性が跳ね上がりますので、適切な対処を心がけて欲しいと思います。

そこでここからは、エンジンがオーバーヒートしてしまったときの症状と対処法、オーバーヒートしてしまう前に行うことができる予防法についてご紹介します。

オーバーヒートが起きたときの主な症状

水温計が上昇・下降を繰り返す

オーバーヒートが起きるとき、もしくはオーバーヒートの前兆として起こりやすいのが、水温の頻繁な上昇と下降です。
水温はスピードメーターの近くにある水温計で見ることができます。

水温計の表示は、針が下のC(クール)に近ければ近いほど水温が低く、上のH(ホット)に近いほど水温が高くなります。
頻繁にH側に水温計の針が振れたり、H側のまま針が下がらない場合は、オーバーヒートを疑った方が良いでしょう。

逆に、針がCの値より下側に触れている場合も、オーバーヒートの可能性があります。
正確にはオーバーヒートそのものの疑いではなく、針がCよりも下に振れている場合、冷却液が漏れてしまっている疑いがあります。
LLCの液漏れが起きていると、水温計の針が正確な温度を示さないため、そこから転じてオーバーヒートの可能性が考えられるのです。

エンジンの回転数が不安定

トラックのエンジンは、一般の乗用車のエンジンに比べて頑丈に作られています。
それほど頑丈なエンジンの回転数が不安定になる場合、エンジンのオーバーヒートが疑われます。
酷い状態になると、アクセルから足を離した途端、勝手にエンジンが止まってしまいます。

エンジンから異臭

オーバーヒートが起きたときには、エンジン部分からオイルが焼け焦げたような臭いがすることがあります。
これもオーバーヒートが起きたときの症状の1つです。

対処法

ここまで、オーバーヒートの症状についてご紹介しました。
ここからは、オーバーヒートが起きてしまった際の対処法をご紹介します。

・深呼吸

オーバーヒートが起きてしまったら、まずは慌てずに深呼吸しましょう。
…冗談で言っているわけではありません。

上述したように、オーバーヒートが起こるタイミングはほとんどの場合「走行中」です。
オーバーヒートが起きたときは、水温計の表示やエンジンの挙動がおかしくなったり、エンジン部分から異臭がしたりします。
何も知らないで走っているときにいきなりそんな症状が現れたら、パニックになってしまう人もいるのではないでしょうか。

しかし、ここであわててその場で止まったり、よくわからないまま走行したりすると、さらに深刻な事故やエンジントラブルに発展しかねません。
深呼吸することで一旦落ち着いて、現状を確認し、付近に安全に停車できる場所がないか探しましょう。

・速やかに安全な場所で停車

できるだけ速やかに、安全な場所に移動し、停車しましょう。
このときに、ラジエーターの冷却用のファンが回っている場合は、エンジンをアイドリング状態にして、ラジエーターの冷却機能でエンジンの温度が下がるようにしましょう。
水温計の針が中央くらいまで下がったことを確認したら、エンジンを停止させます。

※ラジエーター冷却用のファンが回っていない場合には、エンジンを冷却する機能が車体に無い状態なので、ただちにエンジンを停止させ、それ以上温度が上昇しないようにしましょう。

・ラジエーターの冷却液(LLC)を確認

無事にエンジンを停止させ、エンジン内部の温度を下げることができたら、ラジエーター内部にある「リザーバータンク」内のLLCの量を確認しましょう。
ラジエーターの内部は、ラジエーターキャップによって圧力がかけられています。
ラジエーターキャップからかけられた圧力によって、ラジエーター内部のLLCの量が規定分量を超えたとき、LLCは「リザーバータンク」に溜まっていきます。

リザーバータンクとは、ラジエーター内部のLLCが溢れないように、一時的に溜め込んでおくタンクのことで、量が少ない側に「C」、量が多い側に「H」の表示があります。
リザーバータンク内のLLCの量が「H」を超えるような、異常に多くなっている時は、ラジエーターキャップの異常や、ガスケットの破損の可能性があります。

逆に、タンク内のLLCの量が、「C」の表示にも満たないような少ない量だと、LLCの液漏れが疑われます。
※液漏れが発生している場合は、応急措置として、エンジン内部の温度が下がった後に追加のLLCを補充することで、一時的に走行することが可能になります。

LLCの量が確認できたら、LLCそのものの状態も確認しましょう。
もしLLCの色が白濁しているのであれば、エンジンオイル混入の可能性があります。
ディーラーや整備工場などで対処してもらいましょう。

※要注意※
ラジエーターキャップやリザーブタンクを開けるとき、ラジエーター内のLLCが非常に高温になっているケースがあります。
高温の蒸気や熱湯が噴き出して、やけどの原因になる恐れがあるので、厚手の布を数枚重ねて、ゆっくりと開けましょう。

・エンジンオイルの点検

LLCの確認ができたら、エンジンオイルの点検をしましょう。
エンジンオイルの点検は、オーバーヒート以外にも、エンジンに関係するトラブルが発生した時には必ず行わなくてはいけないポイントです。

最低でも、エンジンを停止してから5分ほど待って、熱が冷めたことを確認してから点検します。
点検方法は、まず、エンジンオイルのレベルゲージを抜き、先端に付着しているオイルをふき取ります。

ふき取った後、再度レベルゲージを差し込み、引き抜いて付着したオイルの位置を確認します。
オイルが目盛りの適正値にあれば問題なしと考えられます。
逆に、オイルの量が少なかったり、異物が混ざっている場合は、オイル交換が必要です。

・ロードサービスに連絡

停車した後、アイドリングしたりエンジンを停止したりしても、エンジン部分の温度が一向に下がらなかったり、トラックのキャブを開けられなかったり、停車した後の対処がわからないという場合は、すぐにロードサービスや、最寄りのディーラーなどに連絡を入れましょう。
担当者に対処方法を確認しながら上述の点検を行ったり、担当者にレッカー車などで現地に来てもらい対処してもらうといった、最適な方法を取ることができます。

オーバーヒートは、対処が早ければ早いほど車体のダメージが少なく済みますので、焦らず冷静に、素早く対処しましょう。
いかがでしたか?
今回はトラックのエンジンがオーバーヒートした際の症状と対処方法をご紹介しました。
次回は、トラックのエンジンがオーバーヒートしてしまう前にできる、予防法についてご紹介します。

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