道路を走行するトラックの後ろに、大きく「G」と描かれたシールが付いているのを見たことはないでしょうか。
実はあのシールはデザインや装飾ではなく、法的に意味や効力を持つ「Gマーク」と呼ばれるシールです。
今回は、そんなGマークについてご紹介します。
目次
Gマークとは
Gマークとは、国土交通省が推進する「安全性優良事業所」の認定制度および、認証が行われたことを証明する表示のことです。
国土交通省が指定した機関である「全日本トラック協会」が定める、38項目の安全性の基準をクリアした事業者に対して、その事業者が安全であるという「公認」と「公表」を行うことを目的として作られたマークです。
トラック運送の利用者が、「より安全な運送事業者を選ぶ」ための判断基準の一つとして、Gマークを活用できます。
2018年12月13日の調査では、Gマークの認定を受けた「安全性優良事業所」の数は25,343事業所に上り、全てのトラック事業所の29.6%にあたります。
また、2019年1月現在で、Gマークの認定を受けた事業所の事故の割合は、Gマークの認定を受けていない事業所の事故の割合に比べて、半分以下であるというデータがあります。
Gマークの認定がもらえるとどんな良いことがある?
ここまで、Gマークがどのようなものかについてご紹介しました。
それでは、Gマークの認定を受け取ることができた場合、果たしてどのような良いことがあるのでしょうか。
荷主からの信頼が得られる
Gマークの認定を受けられる一番のメリットは、荷主からの信頼を得ることができて、案件の依頼につながりやすくなることといっても過言ではないでしょう。
荷主にとって、「荷物を安全かつ確実に届けてくれる運送会社かどうか」という点は非常に重要です。
それが一目で分かるGマークは、荷主にとって信頼できる会社を探す指標の一つとなります。
Gマークの認定があれば、荷主側は安全に関して十分な信頼を寄せて依頼ができ、運送事業者側は依頼の件数が増えるなど、お互いにとって大きなメリットとなります。
点呼の際に優遇が受けられる
トラックの運行を行う場合、出庫や帰庫の際には対面で点呼をすることが「改善基準」で原則として義務付けられています。
Gマークの認定を受けていると、点呼を行う際にテレビカメラなどを使用することで、離れた営業所との点呼や離れた車庫との点呼を行うことが可能になります。
この方法を「IT点呼」といい、スムーズな点呼から、発着手続きまでを行うことができるようになります。
実は、対面での点呼は100%の実施が非常に難しいのですが、IT点呼の導入ができれば業務効率の大幅な向上と管理の手間の軽減という大きな2つの課題を解決に近付けてくれます。
助成金に関する優遇が受けられる
Gマークの認定を受けた事業者は、全日本トラック協会が行っている助成金の中から、会員事業者向けの助成金の一部に対し、予算の範囲内で優遇を受けることもできます。
例として、全日本トラック協会がホームページ上で公表しているものを挙げると
ドライバー等安全教育訓練促進助成制度: ドライバーへの安全教育についての研修の受講料に対する助成金の増額 (通常の場合は受講料の7割を助成→受講料の全額を助成)
安全装置等導入促進助成事業:上述の「IT点呼」の際に使用する「携帯型アルコール検知器」を導入する場合に、1台につき1万円の助成
経営診断受診促進助成事業:経営診断助成金の増額(通常8万円→10万円)・経営改善相談助成金の増額(通常2万円→3万円) などがあります。
損害保険料の割引を受けられる
加入する損害保険会社にもよりますが、一部の損害保険会社では、Gマークの認定を受けた事業者に対して、保険料の割引を適用しているケースもあります。
詳しく知りたい方や、今後Gマーク認定の取得を検討している方は、加入している損害保険会社に確認を取ってみると良いでしょう。
違反点数の消去までの期間が短縮される
事業者が何らかの法令違反による行政処分を受けている場合、事業者に付与されている「違反点数」は通常、3年の間無事故無違反でなければ消去されません。
しかしGマークの認定を受けた場合、違反点数の消去までにかかる期間が3年から2年に短縮されます。
このように、Gマークの認定を受けることができれば、多くのメリットを得ることができます。
それでは、Gマークの認定を得るためには、どのようなことをする必要があるのでしょうか。
Gマークの認定を受けるために必要なこととは
まず、Gマークの認定を受けるために事業者に必要な要件があります。
この要件を満たしていないと、そもそも申請を出すことができないのでご注意下さい。
Gマークの認定を受けるために必要な要件は以下の通りです。
・事業開始(運輸開始)後、3年を経過していること
・配置する事業用自動車の数が5両以上存在すること
※その他、不正な方法や虚偽の申請により申請の却下や取り消しを受けた場合、認定証の偽造や不正使用を行っており、是正勧告を受けていた場合などについての条件が、個別に定められています。
要件を満たしている場合は、事業所が所在する各都道府県のトラック協会に申請を行います。
毎年、決まった期間内に申請書類を用意し、所定の期日までに窓口に持参します。
申請に必要な書類は、各都道府県のトラック協会の窓口や、「Web申請書作成システム」を利用して、インターネット上で作成することもできます。
ただし、申請そのものは各都道府県のトラック協会の窓口に直接持参して手続きを行う必要があるので、(特にインターネット上で書類を作成していた場合は)注意しましょう。
申請後は、各都道府県のトラック協会が全日本トラック協会に書類をまとめ、全日本トラック協会が全国の事業者から送られた申請をチェックし、審査していきます。
審査については記事の冒頭でも書きましたが、38項目にわたる項目でチェックされていき、その結果、認定要件を満たしていると判断された場合にはGマークの認定と公表が行われます。
ちなみに、Gマークの認定の有無にかかわらず、審査結果は申請した事業所に伝えられますので、Gマークが認定されなかった場合は、次に申請を行う際の参考にすることもできます。
いかがでしたでしょうか。
今回は、安全な運行をしているトラック事業者に贈られる「Gマーク」についてご紹介しました。
Gマークは安全な運行の証明になるだけでなく、持っていることによってさまざまな特典を活用することができるので、要件に当てはまる事業者の方は審査を受けてみてはいかがでしょうか。