トラックの荷台に、クレーンのようなものが装着されている車両を見かけたことはないでしょうか。
もしかしたらそのトラックは、「穴掘建柱車 (ポールセッター)」と呼ばれるものかもしれません。
そこで今回は、穴掘建柱車についてご紹介していきます。
目次
穴掘建柱車とは?
「穴掘建柱車」と言われても、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。
穴掘建柱車は「特装車」に分類される車両で、トラックの荷台にクレーンが装着されている車体の中でも、クレーンの先端に削岩スクリューが装着された車両です。
このスクリューによって地面を掘り進めていき、電柱などを建てるといった用途で穴掘建柱車は使用されています。
穴掘建柱車の構造や装備
穴掘建柱車の構造や装備はどのようになっているのでしょうか。
オーガ
上述したように、穴掘建柱車はクレーンの先に削岩スクリューが装着されている車両です。
この削岩スクリューのことを「オーガ」といい、オーガが回転しながら穴を掘り進めることで、地面に真っすぐに柱を立てられるようにしていきます。
オーガの回転のスピードはそこまで早いわけではありませんが、掘削の能力が非常に高いため、ある程度の硬さや深さの地面であればすぐに掘り進められます。各種アタッチメント
穴掘建柱車は、クレーンの先端部分にオーガだけでなく、目的に合わせてさまざまなアタッチメントを取り付けることができ、やわらかい地盤や固い地盤の掘削、岩盤の破壊など状況に応じて使い分けることが可能です。
掘削した際に、オーガや各種アタッチメントに土砂が付着することもありますが、穴掘建柱車にはバイブレーター機能があり、付着した土砂や泥を振り落とすことも可能なので、常に高い性能を維持したまま作業を進めることができます。
クレーン
穴掘建柱車は、オーガや各種アタッチメントを使用して掘った穴に、柱自体を建てるためのクレーン能力も備えており、大型の電柱や重量のあるトランス(変圧器)などを吊り上げることが可能です。
近年ではクレーンブームもかなり長く伸縮できるようになっており、掘削半径を広く確保できるほか、ある程度のサイズまでであれば川越しの作業や道路越しの作業もできるようになっています。アウトリガー
穴掘建柱車が作業する際、クレーンブームが長くなればなるほど重心が遠くなり、それに比例して車体の安定性が下がっていくので、安定性を補助するために「アウトリガー」という補助脚を必ず使い、車体を支えます。
アウトリガーは、移動中は邪魔にならないように運転室と荷台の間のスペースや荷台後部などに収納されており、作業時に車体の前後左右にせり出して使用します。
そのため、走行中にアウトリガーが目に留まることは少ないのですが、穴掘建柱車を含めトラッククレーンが作業する際には必須のパーツの1つなので、気になる方は作業中の穴掘建柱車を観察してみると面白いかもしれません。
穴掘建柱車はどんなところで使われている?
穴掘建柱車は、その名前の通り穴を掘って柱状のものを建てるための車両です。
その活躍の場所は、道路上に信号機や標識を建てるような工事現場や、電柱などの電気設備の通信工事や建設現場がほとんどです。
一部、住宅の柱を建てるための穴を掘ったり、支柱を建てたりといった用途で使用される場合もあります。
穴掘建柱車を操作するのに必要な資格は?
そんな穴掘建柱車ですが、取り扱うためには3種類の資格が必要になります。
1つ目は「公道を走行するための資格」です。
穴掘建柱車はトラックやダンプなどと同様、車体のサイズに応じた運転免許を所有していることで、公道を走行することが可能になります。車体のサイズごとに必要な運転免許はコチラ…何トン車?トラックやダンプの「サイズ」ってどう決まっているの?
2つ目は「荷台装置を操作するために必要な資格」です。
穴を掘る作業を行うには、「車両系建設機械基礎工事用技能講習の修了」または「穴掘建柱車運転のための特別教育の修了」のいずれかの資格が必要です。※ただし、使用する車両の重量が3トン以上になる場合は「車両系建設機械基礎工事用技能講習の修了」が必須になり、「穴掘建柱車運転のための特別教育の修了」の資格では操作することができませんので、注意しましょう。
3つ目は、「クレーン操作をするために必要な資格」です。
穴掘建柱車を使用して電柱やトランスといった「重量物の吊り上げ」を行うためには、「小型移動式クレーン運転技能講習の修了」の資格が必要となります。この資格に関しては、事業者や業務内容ごとに必須かどうかが異なりますので、穴掘建柱車で仕事をしようとしている求職者の方は、採用情報などをしっかりとチェックしておいた方が良いでしょう。
いかがでしたか?
今回は電柱や信号機の設置などで活躍している穴掘建柱車についてご紹介しました。
穴掘建柱車を目にする機会自体はそこまで多くはないかもしれませんが、人々の生活を豊かにする大切な仕事をしている車両です。
この記事でご興味を持たれた方は、穴掘建柱車についてインターネットなどで調べてみると、さらに面白い発見ができるかもしれません。