近年、物を運ぶ仕事が多様化してきています。
働き方改革を受けて、車内の運送計画が変化していったり、ウーバーイーツのように、個人がお金を受け取って物を運ぶサービスが登場したりと、さまざまな形でものを運ぶ人が増えてきています。
その中で、個人で運送業を開業しようとしている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、個人で運送業を開業しようとしたときに、どんな準備が必要になるのかについてご紹介します。
目次
運送業とは何か
そもそも、運送業とはどういうものでしょうか。
貨物自動車運送事業法には、以下のように記載があります。
第二条 この法律において「貨物自動車運送事業」とは、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業をいう。
2 この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。次項及び第七項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。
3 この法律において「特定貨物自動車運送事業」とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業をいう。引用:e-GOVウェブサイト「貨物自動車運送事業法」 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=401AC0000000083_20191214_430AC0000000096&openerCode=1
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要するに、お客様から運賃を受け取って、自動車で荷物を運ぶ仕事をする場合は運送業にあたります。
ちなみに、ウーバーイーツはバイクや自転車などを使うことによってこれを回避しています。
詳しくは過去の記事をご覧ください。
【関連記事:ウーバー(Uber)は運送会社のライバルになる?】
また、運送業を始めるためには、国土交通大臣に申請して、事業の許可をもらわなければなりません。
第三条 一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
引用:e-GOVウェブサイト「貨物自動車運送事業法」 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=401AC0000000083_20191214_430AC0000000096&openerCode=1
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貨物自動車運送事業法をクリアして、事業許可を得ることができれば、晴れて運送業を開業できます。
個人で運送業を開業することは可能なのか?
結論から先に述べると、個人事業主として運送業を開業することは可能ですが、自分1人、トラック1台で開業することはできません。
運送業の事業許可の要件には、以下のものがあります。
・ドライバー5人、運行管理者1人、整備管理者1人の配置(ただし、整備管理者はドライバーとの兼任可)
・運送業に使用する車両5台以上(ただし、軽自動車の台数は含まない)
つまり、最低でも6人以上の人材と、5台以上の車両が必要になります。
その内1人は自身をカウントするとして、5人の協力者を集めなければいけません。
※運送業の許可を取得後に従業員となることが確定している人が該当するので、申請のタイミングで雇用関係になくても問題ありません。
これらの条件がクリアできるのであれば、個人事業主であっても運送業を開業することは可能です。
また、厳密には開業ではありませんが、運送業を行っている組合に所属し、その組合員として活動することによって、自分1人だけで活動することが可能です。
ただし、運送業許可を得ている組合自体が限られている、あくまでも組合の構成員として活動することになるなど、こちらの方法にも注意すべき点はあります。
運送業を開業するための準備
さて、ここまでは個人で運送業を開業するための条件についてご紹介しましたが、ここからは、実際に開業までに、どんな準備が必要かご紹介します。
※ご紹介する内容は、2020年4月3日時点での情報をもとにしています。そのため、法改正などで必要な手続きや条件が変化する場合があります。
まずは、資金の確保から始めましょう。
運送業として許可を得るためには、開業後6カ月間の人件費、12カ月間の事務所・駐車場の賃料、全車両の1年分の自動車税・保険料などが確保されていることが必須となります。
そのために必要な資金が用意できたら、次のステップに進めます。
続いて、上述した人員や車両を確保しましょう。
当然ですが、ドライバーや運行管理者、整備管理者にはそれぞれ該当する資格が必要です。
同時進行で、事務所と駐車場を探しましょう。
運送業を開業する場合には、事業に使用するための事務所と駐車場がそれぞれ必要になります。
事務所や駐車場は自己所有でも賃貸でも問題ありませんが、いくつかの条件を満たしていないと登録できませんので注意が必要です。
車庫の探し方や選び方は過去の記事でご紹介しています。
【関連記事:これで失敗しない!トラックの車庫探しについて】
これらの要件をクリアしたら、開業したいエリアを管轄している運輸支局に行って運送業の許可を申請します。
申請後に法令試験と呼ばれる審査が行われ、無事審査に合格したら、引き続き開業までの手続きをして、晴れて運送業の開業ができます。
ちなみに、審査結果の通知までは2カ月ほどかかるのが一般的です。
おわりに
今回は、個人で運送業を開業することができるのか、また、実際に開業するまでにはどのような準備が必要なのかについてご紹介しました。
多くの準備と協力者が必要で、なかなか高いハードルではありますが、今後、個人で運送業を開業しようとする人にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。