以前の記事で、マナーの悪い運転をする人の例として、ポイ捨てをするドライバーを引き合いに出したことがありました。
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運転中にたばこや空き缶などをポイ捨てすると法律違反になるにもかかわらず、運転中にものをポイ捨てするドライバーは後を絶ちません。
道路へのポイ捨ては後続車にとって迷惑なだけでなく、場合によっては迷惑を重大事故につながる可能性があり、たいへん危険です。
今回は、ポイ捨ての実態と、ポイ捨てによる危険から身を守るためにドライバーができる対策についてご紹介します。
※今回の記事は、トラックに限らず、すべての自動車を運転するドライバーに向けてご紹介しています。
目次
道路へのポイ捨てはどんな法律違反?
道路にポイ捨てすると、どんな違反になり、どんな罰則があるのでしょうか。
道路上へのポイ捨ては、道路交通法第76条第4項の違反となります。
道路交通法第76条 禁止行為
第4項 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。出典:e-Govウェブサイト「道路交通法」より引用※別のタブで開きます(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000105)
これに違反した場合は、5万円以下の罰金が科せられます。
捨てられるものとしては、飲んだものの空き容器やたばこの吸い殻などが多いですが、それらに限らず、車内からものを投げる場合にはこの法律に抵触します。
そのほか、軽犯罪法第1条第27号に抵触する可能性もあります。
軽犯罪法第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十七 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
出典:e-Govウェブサイト「軽犯罪法」より引用※別のタブで開きます(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000039)
こちらに抵触した場合は、「刑事施設への拘置1日以上30日未満、罰金1000円以上10000円未満」が適用されます。
また、ポイ捨てをしたことによって後続の車両や対向車線の車両に危険が発生した場合、安全運転義務違反の対象になる可能性もあります。
さらに、各自治体の条例によっては、個別に罰則が設けられているケースもあります。
道路へのポイ捨てが無くならない理由は?
さて、上述のように、道路へのポイ捨ては単なる迷惑行為やマナー違反ではなく、法律に違反する行為です。
しかし、道路へのポイ捨てが無くなった、あるいは減ったという話はあまり聞きません。
なぜでしょうか。
法律違反だという意識が無い
おそらく、道路にポイ捨てをする人のほとんどはポイ捨てが法律違反であるという認識が無いでしょう。
軽い気持ちで捨てている、あるいは、そもそもマナー違反とさえ思っていない人もいます。
他の人もやっているから
「すでに道路上にごみが捨てられているため、自分もポイ捨てをしても構わない」「どうせ誰かが掃除するから捨てても良いだろう」という考え方の人もいます。
バレない、捕まらないと思っている
法律違反だということは知っていても、見つからなければいいという考え方でポイ捨てをする人は、残念ながら一定数います。
彼らは、警察の取り締まりに引っかからないようにタイミングと場所を見計らってポイ捨てを行います。
ポイ捨て被害への対策は?
悪質なドライバーによって道路上にごみがポイ捨てされた結果、多くの人に危険や迷惑がかかります。
代表的なのが後方の車両にごみがぶつかり車両が破損したり、ごみを避けようとして事故につながったりといった危険です。
そんなポイ捨ての被害から身を守るために、どのような対策ができるでしょうか。
十分な車間距離をとる
残念ながら、現状でごみのポイ捨てを完全になくすことはできません。
そのため、ある程度の自己防衛が必要になります。
目の前でポイ捨てをされた時の対処法は、ごみを安全に回避できるだけの十分な車間距離を確保することです。
特に、大型トラックなどの背の高い車の後ろについたときには、普段よりも多めに車間距離をとりましょう。
左車線を走る
確実とは言えないものの、複数の車線がある場合に左車線を走行することも、ポイ捨ての被害を減らせる方法のひとつです。
日本の自動車は、大半が右側に運転席があります。
そのため、左車線にいる車がポイ捨てをしたときに、となりを走る車にあたって跳ね返る可能性があり、それを嫌って左車線の運転席側からポイ捨てをする確率が低くなります。
左車線を走行することも意識してみましょう。
ドライブレコーダーを取り付ける
車からのポイ捨てを完全になくすことは難しくても、ポイ捨てを減らすためにできることがあります。
その中のひとつが、ドライブレコーダーの使用です。
ドライブレコーダーの普及によって、ポイ捨てや煽り運転といった周囲に危険を及ぼすような運転をするドライバーがいた場合に、ドライブレコーダーの映像を証拠として警察に提出することで、一種の抑止力とすることができます。
実際、ドライブレコーダーの映像から、事故の危険が高いと判断され、逮捕に至った事例もあります。
現実問題として、ポイ捨ての検挙に割ける人員の関係で、必ず逮捕になるとは言えないものの、通報の件数が多ければ多いほど重大な問題として取り扱ってもらえるので、危険なポイ捨てを発見した場合は、次に同じことが起こらないように通報しましょう。
おわりに
小さな煙草一本でも、バイクやオープンカーにとっては脅威になります。
ドライバー一人ひとりがポイ捨てをしないように心がけ、ポイ捨てから身を守れるように動くことで、少しずつではありますが、ポイ捨てを減らせるようにしましょう。