トラックの中でも、荷台がせり上がって荷物をスムーズに降ろすことができるのが「ダンプトラック」です。
その中には、荷台のアオリ(壁となる部分)が他のダンプトラックに比べて高くなっているものがあり、これを「土砂禁ダンプ」と呼びます。
今回は、土砂禁ダンプの特徴や種類についてご紹介します。
目次
土砂禁ダンプの「土砂禁」とは
土砂禁ダンプの特徴をご紹介するためには、まず土砂禁ダンプの「土砂禁」という言葉の意味についてご説明していきます。
「土砂禁」とは、その名の通り「土砂を載せることが禁止されている」ことを指す言葉です。
つまり土砂禁ダンプは「荷物として土砂を運ぶことができないダンプトラック」のことを指します。
なぜ土砂禁ダンプで土砂を運ぶことができないのか
なぜ土砂禁ダンプでは土砂を運ぶことができないのでしょうか。
ポイントとなるのは「比重」です。
ダンプトラックで運搬される荷物にはさまざまなものがあります。
その中で、土砂は「比重が重たいもの」に分類されます。それに比べ、ウッドチップやペットボトルなどの一般廃棄物、産業廃棄物や牧草などの荷物は「比重が軽いもの」に分類されています。
「比重が重たいもの」を積載量いっぱいまで荷台に積み込んだと想定した時に、同じ重量分の「比重が軽いもの」を載せると、「見た目の大きさ」は比重の軽いものの方が大きくなります。
そのため、普通の荷台のダンプトラックに、「比重が軽いもの」を車両の最大積載量いっぱいまで積み込もうとすると、荷台から溢れだしてしまう恐れがあるので、荷台のアオリを高くしたダンプトラックが使われるようになりました。
しかし、荷台のあおりを高くしたとしても車体の最大積載量は変わらないため、高くなった荷台いっぱいに「比重が重たいもの」を載せてしまうと「過積載」となる恐れがあります。
そこで、荷台のアオリを高くしたタイプのダンプトラックを「土砂禁ダンプ」と呼び、「比重が重たいもの」を載せないように決めたのです。
つまり土砂禁ダンプとは、ウッドチップやペットボトルといった「比重が軽い荷物を大量に運搬するために活用されるダンプトラックのこと」です。
過積載について詳しくはコチラ…「過積載」の危険性とトラック買取への影響とは?
土砂禁ダンプは違う呼び方で呼ばれている?
一般廃棄物や産業廃棄物、ウッドチップや飼料など、多彩な荷物を運搬している土砂禁ダンプは、その用途や形状などから他の呼び方で呼ばれることも多いです。
深ダンプ
最も分かりやすい特徴である荷台の深さから、土砂禁ダンプは深ダンプとも呼ばれています。
このタイプの荷台を持つダンプトラックは、基本的に土砂禁ダンプと深ダンプのどちらかで呼ばれることが多いので、中古のダンプトラックを購入するときの車体探しや売却の際に、インターネットなどで車両情報を参考にする場合に、どちらかの情報が載っていない場合でも、もう片方の言葉で検索してみると意外とすんなり求めている情報を得ることができます。
チップダンプ
土砂禁ダンプの中でも、上述のウッドチップを運搬するために使用される車体のことを「チップダンプ」と呼んでいます。
林業などで活躍しているチップダンプですが、土砂禁ダンプとの違いは「載せる荷物」だけであり、車両の構造などはすべて同じ車体のことを指します。
車体を運用している会社が業務のなかで区別しやすくするために呼び分けているケースが多いです。
ファームダンプ
チップダンプと同様、用途によって呼び分けられているのがファームダンプです。
畜産飼料や牧草などを農場に運搬するために使用されていることから「ファーム」ダンプという名前で呼ばれていますが、チップダンプと同じく土砂禁ダンプと構造上の違いはありません。
中古の土砂禁ダンプに人気が出始めている?
実は最近、中古の土砂禁ダンプに人気が出始めています。
地震や豪雨などの災害の発生に伴い、物資の運搬、特に廃棄物の運搬に多くの車両が必要になってきたからです。
そして、比重の軽い一般廃棄物や産業廃棄物の処理のために土砂禁ダンプにも需要が増えてきているのですが、土砂禁ダンプを手に入れようとする場合、新車だと値段が高く、すぐに納車できないという欠点があります。
そこで比較的安価に、そして素早く入手できる中古の土砂禁ダンプに注目が集まるのは当然なのかもしれません。
中古の土砂禁ダンプの需要が増えているということで、トラック販売店は土砂禁ダンプを積極的に買い取りたいと考えています。
今後、中古の土砂禁ダンプを売却しようと思っている方は、まずはお気軽に買取業者にご相談してみると良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
今回は、荷台のアオリが大きな土砂禁ダンプについてご紹介しました。
土砂禁ダンプはその特殊な用途から、特定の業界ではなくてはならない車両のひとつです。
新車、中古どちらでも、自身に見合った車体を入手し、最大限運用していきましょう。