「オーバーハング」という言葉をご存じでしょうか。
主に中型トラック以上の車体で取り上げられる言葉ですので、普段トラックに乗らない人や小型トラックにのみ乗っている人には、あまり馴染みのない言葉かもしれません。
そこで今回は、オーバーハングという言葉の意味についてご紹介していきます 。
目次
オーバーハングとは
そもそも、オーバーハングとは何でしょうか。
オーバーハングとは、「自動車のボディのうち、タイヤからはみ出した部分」のことを指す言葉です。
すなわち、トラックを含むすべての自動車の、前輪よりも前の部分と、後輪よりも後ろの部分を指します。
ちなみに、前輪よりも前の部分は「フロントオーバーハング」、後輪よりも後ろの部分は「リアオーバーハング」と呼ばれています。
このうち、一般的にただ「オーバーハング」と呼ばれた場合はリアオーバーハングのことを指します。
どちらのオーバーハングも、冷却スペースや積載スペース、事故が起きたときのクッションなどの役割を持っています。
今回の記事では、オーバーハングと呼ぶときは、基本的にリアオーバーハングのことについてご紹介していきます。
トラックのオーバーハングについて
正確には、すべての自動車にオーバーハングとなる部分が存在します。
では、なぜ中型以上のトラックで紹介されることが多いのでしょうか。
一定以上の大きさを持つトラックは、一般の乗用車や小型のトラックなどと異なり、オーバ-ハングが非常に長いです。
特に、増トン仕様になっているトラックのオーバーハングの長さが顕著です。
実は、トラックのオーバーハングが長いことによって、走行時に「ある危険」が発生します。
オーバーハングが長い場合の危険とは、右左折の時にオーバーハング部分が横にはみ出て、対向車や隣の車線を走行している自動車に衝突してしまう恐れがあることです。
自動車は右左折の際、前輪が曲がる方向に合わせて動き、それにともなって車体が道路に対して横向きに膨らんでいきます。
このとき、オーバーハングが長いと、その分だけ膨らみが大きくなる傾向にあります。
中型以上のトラックの場合、特にその影響が大きく、右折や左折した際に隣の車線や対向車線にはみ出す可能性がより大きくなっていきます。
また、オーバーハングは曲がる角度が急であればあるほど、大きく横の車線にはみ出してしまうものです。
これらのことから、中型以上のトラックなどの車両では特に、オーバーハングに気を付けながら走行しなければ、事故につながりやすくなります。
しかし、右左折時、オーバーハングだけに気を付ければよい訳ではありません。
右左折時に気を付けるべきポイントとしてもう1つ、「内輪差」があります。
内輪差は、自動車が右折や左折をするときに、前輪と後輪の進み方が違うことによって起こる現象です。
自動車では基本的に、曲がる方向に対して前輪よりも後輪が内側を進む、という特徴があります。
そのため、交差点などを左折する際に気を付けて進入しないと、後輪が内側の歩道に乗り上げたり、信号待ちの歩行者にぶつかったりといった事故につながります。
オーバーハングと内輪差の関係
オーバーハングと内輪差は、どちらも右左折を行う際に気を付けなければいけないものであり、お互いに密接な関係があります。
オーバーハングにも、内輪差にも気を使った運転が必要です。
ここからは、オーバーハングや内輪差を意識した運転の方法について、具体的なものをご紹介していきます。
両側のミラーを確認する
ごく基本的な方法で、「何を当たり前のことを…」と言われるかもしれませんが、右折や左折する際に、曲がる方向のミラーだけでなく、逆側のミラーも確認しながら進行することが大切です。
曲がる方向のミラーでは内輪差を、逆側のミラーではオーバーハングのふくらみを、それぞれ確認することができます。
オーバーハングが長ければ長いほど、曲がる時の安全確認が難しくなりますので、しっかりと確認しながら進行しましょう。
右折時にはゆっくりとハンドルを切る
上述したように、オーバーハングは、急角度で曲がれば曲がるほど、大きくふくらみます。
日本のトラックでは運転席が右側にある場合がほとんどなため、右折時にはしっかりと確認しながら進行することができ、無理にハンドルを切る必要もありません。
焦らずゆっくりとハンドルを切りながら、徐々に右折するようにしましょう。
左折時はできるだけ道路の左寄りで、やや遅らせてハンドルを切る
左折時の場合、オーバーハングのふくらみによって車体がはみ出すのをできるだけ少なくするために、なるべく左側に寄って左折を開始しましょう。
このとき、内輪差が気になると思いますので、ミラーをしっかりと確認しながら、少し遅めのタイミングで左折を開始すると、うまく左折することができるようになります。
いかがでしたか。
今回は、主に中型以上のトラックで話題に挙がる、オーバーハングについて、定義や注意点などをご紹介しました。
普段の運転で、中型以上のトラックを使用しない人も、今後中型以上のトラックを運転する機会があるかもしれません。
そんな時が訪れたとしても問題なく対応できるように、今回の記事などを参考にしてもらえると幸いです。