大型トラックのタイヤ、じっくり見てみると1カ所に2つの細いタイヤが並んでいます。
なぜ、大型トラックのタイヤは2列になっているのでしょうか。
大型トラックやバスの後輪は、タイヤの耐荷重性を確保するために、後輪1箇所につき2本のタイヤを使って荷台を支えるのが主流です。
このように1カ所で2列に並んでいるタイヤのことを「ダブルタイヤ」といいます。
しかし実は、幅広の1本のタイヤを使っている大型トラックも少数ながら存在します。一体どういうことなのでしょうか?
今回は大型トラックのタイヤの種類について、現在の状況や今後の動向などの観点からご紹介していきたいと思います。
目次
ダブルタイヤって?
そもそも、ダブルタイヤとはどういったものでしょうか。
ダブルタイヤとは主に大型のトラックやバスなどの大型の自動車で用いられる、タイヤの装着形態の一種です。
車体の後輪にタイヤが左右に2列ずつ、合計で4本存在するためこのように名付けられています。
別名としてツインタイヤやデュアルタイヤと呼ばれることもありますが、車体の種類としては全て同じものとされています。
ダブルタイヤのメリット
ダブルタイヤが採用されるメリットとしては、荷物や乗務員などの重量を2つのタイヤに分散させることによって、耐荷重の性能を確保することができる点です。
また、ダブルタイヤの方式を採用する場合、4つある後輪のうち1つがパンクやバーストしてしまってもそのまま走行することができ、交換するタイヤも1つで済むというメリットもあります。
※ただしこのとき、タイヤがパンクしてしまっていることに気付きづらい、というデメリットが挙げられるため、日常の点検が非常に重要になります。
このように、ダブルタイヤにはダブルタイヤのメリットがある中で、大型トラック向けに横幅が広くなった「ワイドシングルタイヤ」にも、新たなパーツラインナップが開発されるようになっており、シングルタイヤとダブルタイヤの間でメリット・デメリットが差別化されることによって、新たな需要が期待されています。
ここからはワイドシングルタイヤのメリットやデメリットについてご紹介していきたいと思います。
ワイドシングルタイヤのメリット
最近ではフランスに本拠地を置くタイヤメーカー「ミシュラン」が、ダブルタイヤの代わりにバスや大型トラックなどに搭載できるタイヤとして、「X One」というワイドなシングルタイヤを開発しました。
一般的に大型トラックでは、前輪にタイヤ2本、後輪にダブルのタイヤが4×2本の、合計10本のタイヤが必要でしたが、ワイドシングルタイヤを使用した場合、前輪にタイヤ2本、後輪にはシングルタイヤが4本の、合計6本のタイヤで走行できるようになります。
このため、シングルタイヤに代わることで重くなったスペアタイヤの分の重量が加算されますが、それでも合計で約200㎏ものタイヤ及びホイールの重量を軽量化することができます。
タイヤの重量が減ることによって、車両総重量と最大積載量に空きができるため、その分荷物を多く載せることができるようになります。
※ただし重心などの関係から、「軽量化した重量分をすべて荷物の重量に加算できる」とは言えませんので、あくまで「ある程度の荷物が追加できる」という認識で良いでしょう。
またホイールやタイヤなど、サスペンションよりも下の部分の重量が減り振動が軽減されることによって、運転時の乗り心地の向上が見込めます。
ワイドシングルタイヤのデメリット
逆にワイドシングルタイヤのデメリットとしては、パンクやバーストのリスクが高く、またタイヤ1本の単価自体もダブルタイヤと比べると高めなので、長距離運送用として使用するには運用のリスクやコストが高めな点があげられます。
例えば走行中、1つのタイヤがパンクしてしまったときに、ダブルタイヤであればとりあえず走行すること自体が可能ですが、ワイドシングルタイヤだとすぐに止まってタイヤの交換をしなくてはなりません。
一般道で近くに一時的に停車可能な場所があれば大きな問題に発展することなく対処もできますが、例えば高速道路などではすぐに止められるパーキングエリアやサービスエリアを見つけられるかどうかは運しだいになります。
これらのメリットやデメリットから、ワイドシングルタイヤは短い距離を頻繁に行き来する業種、例えば短距離メインの運送会社や不用品回収、あるいは公道を走らず施設内専門で稼働する目的等で活躍が期待されています。
ダブルタイヤの需要と完全に取って替わることはないでしょうし、まだまだ課題も少なくないワイドシングルタイヤですが、これからの技術の進歩によって新しい需要として存在感が増してくるのではないでしょうか。
ダブルタイヤとワイドシングルタイヤ、すぐに交換するには費用もそれなりに高額のため、今後の自身の目的に合わせて、しっかりと吟味してどちらを使用するかを選ぶと良いでしょう。
現在では上述したように、長距離の輸送やより安定した走行、メンテナンスの容易さを重視するならダブルタイヤを、短距離の輸送や走行の快適さ、積載量の増加を重視するならワイドシングルタイヤを選ぶと良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
今回は大型トラックなどで活躍する「ダブルタイヤ」と、「ワイドシングルタイヤ」についてのご紹介をしました。
新たな技術が生まれるごとに、タイヤにも使用目的に合わせた新たな選択肢が増えていきます。
自分に合った最適な方法で、より効果的に大型トラックを活用していきましょう。