トラックを長年運転している人であれば、誰でも1度は危うく事故になるような「ヒヤリとした出来事」や「ハッとするような瞬間」に遭遇したことがあるのではないでしょうか。
そういった「事故には至らないものの、事故が起きるかもしれずヒヤリとした」という状況のことを「交通ヒヤリハット」と呼びます。
交通ヒヤリハットを放置していると、いずれ事故につながってしまう恐れがあります。
今回は、交通ヒヤリハットの情報をもとに、事故を未然に防ぐ「ヒヤリハットマップ」についてご紹介します。
※ヒヤリハットマップは、「ヒヤリマップ」や「ヒヤリ・ハット地図」、「交通ヒヤリマップ」など、媒体や会社、自治体によって呼び方が異なります。今回の記事では「ヒヤリハットマップ」という呼び方で統一してご紹介します。
目次
ヒヤリハットマップとは
ヒヤリハットマップは、「交通ヒヤリハットが起こった事例」を場所別にまとめ、事故を未然に防げるようにした地図(マップ)のことです。
地図上の「交通ヒヤリハットが起こった場所」に、交通ヒヤリハットの詳細な状況がまとめられており、どこでどのような事例があったのかが、一目でわかるようになっています。
ヒヤリハットマップのなかには、自動車を運転しているドライバーだけでなく、歩行者や自転車に乗っている人からの情報が記入されているものもあります。
ヒヤリハットマップはどうすれば見ることができるのか
全国の自治体や運送会社などが、管轄する地域内の交通ヒヤリハットの事例を集めたヒヤリハットマップを作成しており、各自治体のホームページで、ドライバーや歩行者などが投稿した交通ヒヤリハットの事例が公開されているので、インターネットを使えるなら誰でも閲覧できるようになっています。
また、運送会社で集めた交通ヒヤリハットの事例は事業者間で共有され、複数の地域に荷物を運送するドライバーに、交通ヒヤリハットが起こった危険な場所を周知させています。
自分用のヒヤリハットマップを作成
トラック運送では必要に応じて、自治体や会社が作成したヒヤリハットマップとは別に、トラックの運送ルートに合わせたドライバー独自のヒヤリハットマップを作成します。
作成されるヒヤリハットマップには「ルートマップ」と「エリアマップ」の2種類があり、業務内容に応じて使い分けています。
ルートマップは、目的地までの運転ルートに沿った交通ヒヤリハットをまとめたもので、自治体や会社がまとめた交通ヒヤリハットの事例や、同様のルートを通った経験があるドライバーからの情報をもとに、運転ルートに沿って交通ヒヤリハット事例を記入することで、作られていきます。
エリアマップは、走行するルートがあるエリア内に存在する全ての交通ヒヤリハット事例をまとめて記入します。
ヒヤリハットマップの効果
ヒヤリハットマップの効果は、単に「こんな交通ヒヤリハットの事例がありました」ということを周知するだけではありません。
交通ヒヤリハットの事例を明らかにしていくことで、さまざまな効果があります。
情報共有と、更なるリスクの想定
ヒヤリハットマップを使用することで、ドライバーや歩行者だけが持っていた交通ヒヤリハットの情報を共有し、その事例に対してドライバー同士で意見を交わすことができるようになります。
意見交換をすることにより、交通ヒヤリハット事例から想定される新たなリスクに気づくことができたり、交通ヒヤリハットに至る前の段階で、リスクを回避できるようになったりします。
リスクの明確化
交通ヒヤリハットと交通事故は紙一重の差ともいえます。
交通ヒヤリハット同じような状況に遭遇した場合に、交通事故が起こる可能性は十分に考えられます。
ヒヤリハットマップがない状況では、「いつ」「どんな」危険がやってくるかが何もわからないため、常に事故の不安を抱えたまま運転することになります。
もちろん、ヒヤリハットマップがあるからといって、全ての危険が回避できるわけではないので過信は禁物ですが、「この場所ではこの危険に注意しましょう」という目安があることで、ドライバーの不安を解消し、運転に集中できるようになります。
ヒヤリハットは道路状況に合わせて更新する
使われなくなった道路や新しく作られた道路、地域の取り組みによる交通量の変化など、道路の状況は日々変化していきます。
変化した道路状況で事故を起こさないためにも、自分が使用するヒヤリハットマップは定期的に見直して、最新の情報にしておきましょう。
いかがでしたでしょうか。
今回は、交通事故を未然に防ぐために重要な「ヒヤリハットマップ」についてご紹介しました。
交通事故の危険は、日常のあらゆるところに潜んでいます。
「近くだから大丈夫」「慣れた場所だから平気」という考えが事故につながります。
たとえ近くでも、慣れた道でも、ヒヤリハットマップで交通ヒヤリハットの事例を踏まえ、事故につながる危険な状況を回避できるように、安全運転を心がけましょう。