ミニ油圧ショベルは小回りが利いて便利な車両です。
しかし、似たような車体を持つ油圧ショベルでも、「ミニ」が付くものもあれば付かないものもあります。
名前の基準はどのようになっているのでしょうか。
今回は「油圧ショベル」と「ミニ油圧ショベル」の細かな違いについてご紹介していきます。
目次
油圧ショベルとは
まず、油圧ショベルとはどのようなものでしょうか。
油圧ショベルは、主に削岩や、土砂や廃棄物などの積み込みといった用途で使用される建設機械のひとつです。
操作用の運転室の先にアームが取り付けられており、さらにアームの先に「バケット」や「グラップル」などのアタッチメントが、用途に応じて付けられている車両です。
油圧ショベルは、バケットが後ろ(運転室)側に装着されているタイプのものが一般的であり、その形状から「バックホー」という名前でも親しまれています。
また、走行するための足回りはクローラー式になっているものが多く、一般の道路を走行することができないものが多いです。
ミニ油圧ショベルとは
では、ミニ油圧ショベルとはどのような車両なのでしょうか。
名前からも分かる通り、ミニ油圧ショベルは油圧ショベルの中でも小型の車体です。
ミニ油圧ショベルの定義
ミニ油圧ショベルには明確な定義があり、通常の油圧ショベルと区別されています。
油圧ショベルの中で、車体の重量が6トン以下、もしくはバケットの容量が0.25㎥未満の場合、ミニ油圧ショベルに当てはまります。
ポイントは、バケットの大きさが0.25㎥未満の場合には、アームや車体本体の大きさが大きくてもミニ油圧ショベルと言われる点です。
※あまり名前として取り上げられることはありませんが、ミニ油圧ショベルより大きな油圧ショベルの中には、中型油圧ショベルや大型油圧ショベルなどがあり、バケット容量が0.5㎥や0.9㎥のものをいいます。
ミニ油圧ショベルと通常の油圧ショベルの仕様の違い
ここまで、ミニ油圧ショベルは通常の油圧ショベルとは異なる重量や、バケット容量を持つ車体だということをお伝えしてきましたが、実際の車体の仕様についても、いくらか異なるものがあります。
車体の大きさ
上述したように、ミニ油圧ショベルはバケットの大きさが小さいだけでも当てはまるため、一概には言えないものの、通常の油圧ショベルに比べて一回り小さい場合が多いです。
車体の大きさが小さいことによって、ミニ油圧ショベルはトラック等の車両に乗せて移動することが可能です。
そのかわり、一度に積み込む荷物の体積や削岩する面積など、1か所にとどまって行う作業の効率は通常の油圧ショベルに比べて小さく、大掛かりな作業などになるとミニ油圧ショベルよりも通常の油圧ショベルの需要が大きくなる傾向にあります。
オプション装備の有無
ミニ油圧ショベルと通常の油圧ショベルの違いとして、追加の装備の有無があります。
ミニ油圧ショベルの場合、足回りのクローラー部分にブレードやリッパ-を取り付けて、簡易的なブルドーザーとして運用することも可能です。
逆に、バランスや重量の関係でグラップルタイプなどの大きなバケットが装備できない、という特徴もあります。
作業現場
車体の特徴に差があるので、活躍する(目にする機会が多い)場所もある程度違いがあります。
ミニ油圧ショベルは、小回りが利く小規模から中規模の土木の現場や、農業・造園業など、人の手で行うには大変な範囲の土を掘り返したり地ならしを行ったりする場所で活躍しています。
通常の油圧ショベルは、中規模から大規模の土木・建築の現場や、さまざまなバリエーションのバケットを用いて廃棄物処理等の現場で活躍しています。
ミニ油圧ショベルと通常の油圧ショベルを運転できる資格の違い
油圧ショベルを運転するために必要な資格は2種類存在します。
1つは「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の受講、もう1つは「車両系建設機械運転技能講習」の修了です。
「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の受講の場合、車体重量3トン未満の車両系建設機械のうち、「整地・運搬・積込み用」及び「掘削用」の機械の運転をすることができるようになります。
「車両系建設機械運転技能講習」の修了では、車体重量3トン以上の車体を含む、「車両系建設機械(油圧ショベルやブルドーザー、ホイールローダーなど)」を運転できるようになります。
運転できる車輌の種類が増える分、資格取得までのハードルが高く、受講期間も長く、受講後に試験を受けて合格しなければいけません。
ミニ油圧ショベルの場合は「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の受講をすれば運転できるケースが多く、個人の方が農園などで油圧ショベルを運用する際には「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」を受講することが多いようです。
いかがでしたか?
今回はミニ油圧ショベルと通常の油圧ショベルの違いについてご紹介しました。
それぞれの車体で目的や用途、運転の条件が違うので、自分にあった車両を運用しましょう。