ETCといえばどのようなサービスを思い浮かべますか?
高速道路の出入り口やジャンクションなどの料金所に設置されていて、ETC用の装備を装着していればスムーズに通過できるほか、割引を受けることもできる、ドライバーにとって便利な機器という印象ではないでしょうか。
実は現在のETCはドライバーだけでなく、運行管理者にとっても非常に便利なシステムです。
そこで今回は、より進化したETCこと「ETC2.0」についてご紹介していきます。
目次
そもそもETCってどんなことができるの?
ETC2.0のことについてご紹介する前に、そもそもETCはどのようなことができるのでしょうか。
スムーズな高速道路料金の支払い
ETCの最も大きな特徴といえば、「ETCレーン」を通過することによって高速道路の料金所をスムーズに出入りできることでしょう。
ETCが無かったころ、高速道路の料金所は渋滞の代名詞でした。
高速道路の通行料金の支払いの際には、「料金所の係員に毎回通行券を渡して」「係員が料金を計算して」「料金を支払い(さらに必要なら領収書を受け取って)」ようやくバーが開いて発進、という状況でした。
※ちなみに、筆者が高速道路をETC無しで通過しようとした際には、料金所を通過するだけで30秒~1分ほどかかっていました。
ETCが登場したことによって、料金所での支払いは非常にスムーズになり、高速道路の料金所での渋滞が大きく改善されました。
高速道路料金の割引
ETCを利用して高速道路を通過した時には、高速道路料金の割引を受けることができます。
割引率はETCカードの発行会社ごとに異なります。また、ほとんどの場合平日よりも土日の方が割引率が高いです。
これらのメリットによって、ETCを導入する人が毎年増加しており、現在ではほとんどの自動車にETCが導入されています。
特に長距離を走行する大型トラックにとっては、ETCは強い味方です。
ETC2.0とは
さて、それまでは単純に「料金の支払いを扱うシステム」だったETCですが、ETC2.0に変わったことによってどんな変化が起こったのでしょうか。
ETC2.0とは、2016年4月から国土交通省が主導し、都心部を中心に全国で随時導入され始めた、ETCのシステムを利用して渋滞回避支援や安全運転支援などを行うシステムです。
国土交通省などでは、「料金収受システムから運転支援システムへ」というキャッチフレーズのもと、現状のETCの機能をさらに進化させたものとしています。
全国の高速道路に設置された通信スポットと、自動車に積まれたETC車載器が相互に通信を行い、ETC2.0対応のカーナビやスマートフォンを通して交通情報や付近の状況を共有し、スムーズな移動や安全な運行の助けになるシステムです。
ETC2.0のメリット
上述の通り、ETC2.0になったことで多くのことができるようになりました。
ここからは、ETC2.0の具体的なメリットについてご紹介していきます。
渋滞の回避
ETC2.0では、交通情報をリアルタイムに観測しているので、渋滞がある場合に交通状況を考慮して最も効率の良いルートを割りだします 。
短い渋滞をそのままのルートで問題なく誘導することもあれば、渋滞回避のための新たなルートに誘導することもあります。
安全運転支援
ETC2.0は、急なカーブやトンネルの出入り口などの事故が多発しやすい地点で、道路状況を画像で表示したり音声で注意喚起を行ったりして、安全運転を促す支援を行います。
また、後述しますが急ハンドルや急ブレーキなどの操作に関する情報を社内の運行管理者が受け取ることもできるので、安全運転への指導の役にも立ちます。
災害時の安全確保
全国の道路状況をリアルタイムに管理できるETC2.0のシステムだからこそ、万が一の災害時には周辺の規制情報や走行可能な道路、避難地情報などのさまざまな情報を受け取ることができます。
一部高速道路では従来より高いETC割引が適用される
一部の高速道路では、ETC2.0を導入している車両に対して、従来のETCよりも高い割引率での割引が適用されます。
車両管理の効率化
上述したように、ETC2.0によってメリットがあるのはドライバーだけではありません。
ETC2.0の車載器からの情報の中には、ハンドル操作やアクセル操作などの情報も含まれており、自社のトラックがどのような動きをしたのかを管理者が把握することができるため、ドライバーの指導にも役立ちます。
それだけではなく、走行中の車両の現在地が把握できることから、次に積み込む荷物の準備ができたり荷降ろしのスペースの確保が容易にできるなど、荷物の配送管理の効率化にもつながります。
いかがでしたでしょうか。
今回は従来のETCをさらに進化させ、料金の支払いだけではないさまざまなサービスを受けられるようにした「ETC2.0」についてご紹介しました。
現在の普及率はそこまで高くないものの、国土交通省は「2030年には従来のETCからすべて切り替わることを目標にしている」とのことなので、普及は進んでいくことと思われます。
今後、普及率が上がっていくとともに、高速道路の通行も便利になっていき、トラック輸送の世界においても、さらに効率よくスムーズな運行が可能になっていきますので、高速道路を活用する機会が多い事業者の方は、この機会にETC2.0の導入を検討してみてはいかがでしょうか。