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トラックのオーバーヒートについて【原因と予防法】編

前回の記事では、エンジンのオーバーヒートについて、発生時の症状と対処法等をご紹介しました。
今回は、エンジンのオーバーヒートの主な原因と、予防法についてのご紹介です。

前回の記事はこちら…トラックのオーバーヒートについて【症状と対処法】編

オーバーヒートはなぜ起こる?

そもそも、エンジンのオーバーヒートは何故起こるのでしょうか。
オーバーヒートは基本的に、エンジン内部の冷却ができなくなることによって引き起こされる現象です。
このことから、エンジン内部の冷却機能の異常は、放置しておくと最終的にはすべてオーバーヒートにつながると考えられます。

エンジン内部の冷却を行うのは、「ラジエーター」と呼ばれるパーツです。
ラジエーターの構造を簡単に説明すると、ラジエーターの中にLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれる冷却液が入っており、このLLCを冷やしてエンジン内部を通っているパイプに送り込み循環させることによって、エンジン内部の熱をLLCが吸収してエンジンを冷やすようになっています。
そのため、ラジエーターの構造に問題が発生したり、LLCにトラブルが発生すると、オーバーヒートになりやすいです。
ここからは、具体的なオーバーヒートの原因をご紹介します。

・LLCが関係する原因

LLCと呼ばれるエンジン内部のラジエーターに入っている冷却液が、何らかの形で不足していたり、LLCの冷却機能が低下していた場合、十分な冷却が行えずにオーバーヒートが発生する可能性が高いです。
また、LLCが不足するだけでなく、LLCに不純物が混入するなどの異常が起きた場合にも、オーバーヒートが発生しやすくなります。
前回の記事でも取り上げているように、LLCに関する問題が原因でオーバーヒートが起きることも多く、LLCに異常が起きる場合の根本的な原因もまた存在します。

LLCに異常が起きる原因は

LLCに異常が発生するものとしては、以下のようなものがあります。

・ラジエーターキャップ・ガスケットの故障

ラジエーターでは、LLCの冷却効率を上げるためにラジエーター内部に圧力をかけています。
こうすることで、LLCの沸点を高くしてエンジンから一度に吸収できる熱が増えるのですが、かける圧力を間違うとさまざまな問題につながります。

圧力が高すぎるとLLCの液漏れが起きたり、冷却装置の破損につながりやすくなります。
逆に圧力が低すぎても冷却装置に負荷がかかり、損傷につながってしまいます。また、圧力が低いこと自体によってオーバーヒートが起きるケースもあります。

そうならないために、ラジエーター内部の圧力を適正な値に調整するのがラジエーターキャップですが、これが故障や破損しているとラジエーター内の圧力調節ができなくなり、オーバーヒートが発生する原因になってしまいます。

ガスケットは、パイプの継ぎ目等を塞いで密封し、ラジエーターキャップなどで調節した圧力が間違って変化しないようにするパーツです。
ガスケットが破損すると、せっかく調節した圧力が破損した場所から逃げていってしまい、圧力の低下を招きオーバーヒートにつながります。
これらの故障によってオーバーヒートが起こるケースが非常に多く、後述する予防法が多くのケースで有効になります。

・LLCに異物が混入

何らかの原因でLLCにエンジンオイル等の異物が混入した場合、LLCの冷却機能が落ちます。
その結果、ラジエーターの冷却システム自体には異常がなくても、冷却機能が十分に発揮できないため、エンジン内部の温度が上がってしまい、オーバーヒートにつながります。

・冷却装置が関係する原因

LLCではなく、ラジエーターを含む冷却装置の構造自体にトラブルが発生した場合も、オーバーヒートにつながりやすいです。

・ラジエーターの冷却用ファン部分の故障や目詰まり

エンジン内部のラジエーターには冷却用のファンがありますが、この部分が故障していたり、目詰まりしていると、溜まった熱を放出することができなくなり、ラジエーター、ひいてはエンジンにも熱がこもっていき、最終的にオーバーヒートとなる恐れがあります。

・サーモスタットの故障
・サーモメーターの故障

サーモスタットやサーモメータ―は、車両のエンジン温度を調節する役割を持っています。
エンジン内部の温度が上がり過ぎたことを感知すると作動し、適正な温度までラジエーターの冷却機能を浸かって冷却するようになっています。
サーモスタットやサーモメーターが故障すると、エンジンの過剰な温度上昇に対して感知しなくなり、温度を下げるための措置を取らなくなってしまうので、結果としてオーバーヒートを引き起こしやすくなります。

オーバーヒートの予防法

ここまでオーバーヒートの原因についてご紹介してきました。
そこでここからは、それらの原因を踏まえてオーバーヒートの予防法についてご紹介します。

点検を詳細に行う

上述した、ガスケット・ラジエーターキャップ・サーモスタット・サーモメータ―は、気を付けていなければ滅多に点検することも、異常を発見することもありません。
そこで、以下の項目について、日常点検で留意することが効果的な予防方法です。

・LLCの分量は十分入っているかどうか
・ラジエーターの冷却ファンは正常な動作をしているか
・車内のエアコンは動作しているか、特に、暖房をつけたときに正常に動作しているか
・スピードメーター近くの、水温計は正しく動作しているか
・サーモスタットやサーモメーターの針の位置が適切な位置にあるか
 点検時は「C」のマークより下に振れていないか
・エンジンオイルは十分な量があるか
・ラジエーター本体、リザーブタンク、ポンプやパイプなどから液漏れはしていないかどうか


これらのことについて、日常点検の時や、独自に行っている点検などの時に注意しながら点検することで、故障を早期に発見し、オーバーヒートになる前に対処できるようになります。

いかがでしたでしょうか。
今回は、トラックのオーバーヒートについて、原因と予防法をご紹介しました。
オーバーヒートは早期の症状発見と対処が重要で、対応が遅れれば遅れるほどダメージが大きくなります。
まずは今回ご紹介したようなことに気を付けながら、オーバーヒートになるような原因がないか確認し、症状が起こり始める前に対処しましょう。

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