トラックやバス、タクシー等の営業車に装着されているデジタコ。
デジタコとは、車両の「走行時間」や「走行速度」、「時間帯ごとの位置」等を記録し、運行管理者に情報を伝えるための装置です。
移動時の速度超過や荷積みや荷下ろしの時間、現場到着までとどこおりなく進めていたか、などが記録されます。
今回は、このデジタコについてご紹介していきます。
目次
そもそも「デジタコ」って何?
そもそも、デジタコとは一体何なのでしょうか。
デジタコとは、「デジタルタコグラフ」の略で、タコグラフとは運転記録計のことです。
つまり、デジタルで記録する運転情報の記録装置がデジタコです。
デジタコがトラックに装着されるようになった理由は
では、デジタコはなぜ装備されるようになったのでしょうか?
デジタコが存在しない当時、トラックが事務所を出発してから、配送などを行い事務所に戻ってくるまでの間、どのように動いていたのかについては「アナタコ(アナログタコグラフ)」のみを使用して把握していました。
しかしアナタコは、チャート紙に運転時の走行距離や速度、時間、運転状況などを線で記録する形式のため、例えば車が止まっている時間が、信号待ちなのか休憩中なのか、あるいは荷積みや荷下ろしの最中なのかを知ることができません。
そこで、線ではなくさまざまなデジタルデータで運転時の状況を知ることが可能になるデジタコの導入が必要になり、2014年にデジタコを含む次世代型運行記録計の普及に対する検討が行われ、2015年4月にはデジタコを含む運行記録計の装備義務化の拡大が施行されました。
デジタコの特徴は
デジタコを搭載したことによって、基本的な「速度」や「走行時間」、「走行距離」や「エンジン回転数の変化」、「急加速・急減速検知」、「ドアの開閉回数や時間帯」、GPSを使用した「位置情報」など、非常に多岐にわたる情報を記録しています。
高速道路に出入りする時にETCに反応して速度やエンジンの回転数の制限設定を切り替えられたり、専用のアプリケーションを使用して業務日報の入力を短縮できるようになるなど、利便性の向上や燃費効率の最適化に貢献します。
2017年、車両総重量7トンクラスのトラックにも運行記録計の装着義務化へ
2017年には、車両総重量7トンクラスのトラックでもデジタコを含む運行記録計の装着が義務化されました。
車両総重量7トン以上8トン未満の車両は、これまでデジタコの装着義務がありませんでしたが、この重量を持つ車両の死亡事故率や重傷事故率が高く、事業者によるドライバーへの運行管理の徹底が言われ続けていました。
デジタコやアナタコなどのタコグラフの導入によって、ドライバーの運行状況を正確に知ることで、事故の抑制につながるほか、業務の効率を管理者が上手に調整することができるようになります。
デジタコの装着を怠っていた場合
宮城県のトラック協会が発表した資料では、毎月行っている事業者への巡回指導において、巡回指導件数227件のうち、デジタコを含む運行記録計の未装着があった事業者は12件で、装着義務の対象車両台数834台のうち30台が未装着という結果でした。
今回の改正でデジタコを含む運行記録計の装着が義務化される対象が広がりましたが、デジタコの装着を怠っていたり、装着していたデジタコに不備があった場合、どのような罰則があるのでしょうか。
運行記録計不備
デジタコやアナタコの機械が故障していたり、記録用紙やSDカードが挿入されていないことによる記録の不備が発見された場合には、「運行記録計不備」にあたります。
この場合は一般の交通違反に該当し、白の違反切符を切られます。
大型車と中型車で6000円の反則金、普通自動車では4000円の反則金で、事業者やドライバーへの行政処分はありません。
運行記録計による記録義務違反
デジタコを含む運行記録計を装着していない場合は、「運行記録計による記録義務違反」が適用されます。
こちらの場合は、貨物自動車輸送事業輸送安全規則という法律の違反となるので、もし違反していた場合には30日間の車両使用停止処分という行政処分が下されてしまいます。
実際に2015年には、札幌市に本社を置く運送事業者が運行記録計の装着をしておらず改善基準告知を受けていたにもかかわらず、それを無視し続けた結果、30日間の事業停止処分を受けた事例もあります。
※ただし、このときの事業者に関しては、過去に労働基準監督署からドライバーの拘束時間改善を勧告されていたにも関わらず、これを無視し続けて乗務時間の違反を続けていたのが直接の原因とされています。
今後の交通事故調査や運輸支局による監査において、デジタコの導入をしているかどうかは重要な判断基準だといえるでしょう。
いかがでしたでしょうか。
今回は、安全かつ効率的な運送を影で支える「デジタコ」についてご紹介しました。
新しい規制への対応なども含め、よりよい運転のために必要な車両には忘れずに導入していきましょう。