ゴミ出しの日には、ごみの回収業者が専用の車に乗ってやってきます。
この車のことを「パッカー車」といいますが、そもそもパッカー車はどんな構造で作られ、ごみ収集の他にどんな場所で活躍しているのでしょうか。
そこで今回は、パッカー車とはどういう車両なのかをご紹介していきます。
目次
パッカー車とは
パッカー車とは、トラックの荷台後部にごみなどを圧縮して押し込む装置を装備し、さまざまなごみや資源を収集するために使用されている車両です。
パッカーの名前は、「パック(pack)+er(~するもの)」というところからきているとされ、用途や収集するものによっては別の呼び名で呼ばれることもあります。
「塵芥車」や「塵芥収集車」と呼ばれることが多い他にも、「清掃車」や「破砕車」、「集塵車」とも呼ばれていますが、あくまで呼び名が異なるだけであり、車体の仕様などは全て同じものです。
※ちなみに、車検証の表記の際には「塵芥車」と表記されるため、正式名称としては「塵芥車」が正しいようです。
パッカー車の特徴
パッカー車の特徴は、何と言っても荷台の構造にあります。
普通のトラックに比べて、「より多くのごみを運ぶ」ことに特化した結果、詰め込んだごみを圧縮して奥の方に押し込み、見た目よりもはるかに多い量のごみを収集できる構造になっています。
また、荷物が基本的に「ごみ」であることから、荷物の排出や荷台内部の洗浄が効率的に行えるような工夫がなされています。
例えば、車体後部に汚水を排出できる排水溝がついていたり、後述しますが荷台内部のごみを押し出す「押し出し板」が装備されていたりと、収集するだけでなく排出するための装備が充実しています。
パッカー車の種類
パッカー車の荷台にごみを積み込んでいく方式としては3種類あります。
圧縮版式
圧縮版式は別名「プレス式」とも呼ばれる、圧縮能力が高い方式です。
圧縮版がごみの投入口近くで大きなごみを粉砕し、粉砕したごみを奥の収納空間の手前でさらに圧縮するという2段階方式で、他の2種類の方式に比べて圧縮力が高いので、小さめのごみから粗大ごみに至るまで万能に対応できるためさまざまな業界から人気を得ています。
人気がゆえに、全国の普及率も高い車両ですが、運用には注意が必要です。
圧縮力が高いことで、少しの不注意でも「巻き込まれ事故」が発生しやすく、正しく使用しないと大けがを負いやすい構造となっています。
過去には作業員が圧縮版に巻き込まれ、押しつぶされたという痛ましい事故も発生しています。
運用の際には、こうした事故に巻き込まれないための対策や、巻き込まれてしまった際に被害を最小限に抑えるための対策を取りましょう。
パッカー車には非常停止ボタンが備え付けられていますが、巻き込まれた本人が非常停止ボタンを押せないケースもあり得ますので、必ず2人以上で作業に臨むようにするなどの対策が必須です。
巻き込み式
巻き込み式は、別名「回転板式」とも呼ばれ、その名の通り回転板がごみを奥に巻き込み、押し込み板がさらに奥の方に押し込んでいく方式です。
圧縮版式のようにごみを砕いて圧縮するわけではなく、単純に荷台のごみを奥へと押し込んでいく方式なので、圧縮力はそれほど強くなく、大きなごみや硬いごみが混ざっていると回転板が停止することがあります。
そのため、大きなごみではなく小さなごみが出やすい造園業者に人気が高く、剪定された小枝の収集などが主な活躍の場所です。
ロータリー式
ロータリー式は、パッカー車の中では珍しく、円柱型のドラムが「横向きに」回転する方式です。
ドラムの内側にネジ穴のような形の溝が彫られており、放り込まれたごみが回転に合わせて奥へ奥へと進んでいく構造となっています。
ロータリー式の特徴としては、ドラムが常に回転しているため連続してごみを入れることができるほか、回転方向が横向きなのでごみが飛び散りにくいという点が挙げられます。
作業員にとってのメリットも多い半面、圧縮能力が3種類の方式の中で最も低く、1度に多くのごみを収集する作業には向いていません。
上述のように、飛び散りやすい粉上のものや液体の混じった少量のごみを回収するのに向いている方式の車両です。
排出方式
パッカー車は収集の方式だけでなく、収集されたごみを排出する方法も2種類あります。
押し出し式
その名の通り、荷台の奥から「排出板」という板で押し出す方式です。
しっかりと確実に荷台内部のごみを排出できるので、圧縮版式や巻き込み式などに採用されやすい方式です。
ダンプ式
荷台をダンプアップして重力によってごみを排出していく方式です。
重力に頼って排出するので、収集したごみを全て排出しきるのは難しいものの、押し出し式に比べてスペースが確保できるので、軽量のごみを多く排出するのに向いています。
そのため、どちらかというとロータリー式との相性が良い方式でもあります。
いかがでしたでしょうか。
パッカー車はごみの収集の他にも、古紙の回収や造園の際の小枝の回収など、さまざまな業界で活躍しています。
最近では荷台に重量計も完備されており、ごみの重量を正確に計量することができ、ごみの種類などによって使い分けられています。
新しくパッカー車を購入しようと考えている方は、今回の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。