冬の寒い朝、トラックで出発しようとするとフロントガラスが凍り付いていることは少なくないかと思います。
出発前にフロントガラスの凍結を解かすために余計な時間がかかってしまうのは避けたいものです。
そこで今回は、トラックのフロントガラスが凍結してしまう原因と、実際に起きたときの対処法、そして、凍結が起きないようにするための予防法についてご紹介していきます。
目次
トラックのフロントガラス凍結の原因は?
そもそも、トラックのフロントガラスは、なぜ凍結してしまうのでしょうか。
その原因は、「放射冷却」と呼ばれる現象にあります。
放射冷却とは、「物質が『自分自身が持っている温度』を周りに放射することで、周囲は暖かくなるけれど、その物質自体は冷たくなる」という現象で、全ての物質に起こります。
この放射冷却が冬の夜の地面で起こると、まず空気中の水分が窓ガラスなどに結露します。
そして結露した状態の窓ガラスも同じように放射冷却が起こるので、ガラス表面の温度はどんどん下がっていき、やがて凍結してしまいます。
日中であれば、日光が当たることによって地面やガラス表面の温度の低下を防ぐことができますが、夜中の時間帯や日陰になっている場合は日が当たらないので、放射冷却を防ぐことができず、凍結に至ります。
フロントガラスの凍結が起きたときの対処法
ここからは、実際にフロントガラスの凍結が発生した場合、どのように対処すればよいかについてご紹介します。
解氷スプレー
フロントガラスの凍結が発生した場合、最も効果が期待できるのが解氷スプレーです。
主成分はアルコールで、凝固点(液体が固体になる温度)が水よりも低いため、スプレーを吹きかけた場所の凍結した部分(個体)が液体に戻り、凍結を解消してくれます。
解氷スプレーはガラス表面を傷つける恐れがなく、安心して使用できます。
また、撥水コーティングの成分が含まれていて、解氷スプレーをかけた後にフロントガラスの凍結が起こりにくくなっているものもあります。
「凍結したガラスの表面に吹きかけるだけ」という簡単さも合わせ、凍結発生時の心強い味方になりますが、スプレーの残量にだけは注意が必要です。
除雪ブラシ・スノーブラシ
除雪ブラシやスノーブラシは、凍結した場所の表面や雪などの除去を目的として作られたブラシで、フロントガラスの表面や車体の外装をあまり傷つけることなく、フロントガラスの凍結を取り除くことができるアイテムです。
解氷スプレーでは届かない場所の凍結を取り除くのに便利で、大型トラックの凍結対策として一般的な方法です。
しっかりと凍結を除去するには少し力が要ることと、逆にあまり力を入れてこすると車体を傷つけてしまう恐れがあることには注意しましょう。
フロントガラスが凍結したときにやってはいけない方法
トラックのフロントガラスが凍結した際にやってはいけない方法があります。
熱湯をかける
熱いお湯、いわゆる熱湯をかける方法は、フロントガラスの凍結を取り除く方法として避けるべき方法です。
その理由は、冷えた物質が温まった時に起こる現象にあります。
冷えた物質が急激に熱されると、その物質は「膨張」を始めます。
そして、トラックだけではなくすべての自動車に言えることですが、自動車のガラスは急激な温度変化が起こると膨張して割れてしまう恐れがあります。
そのため、冷えた状態のフロントガラスに熱湯をかけるのは危険です。
さらに、熱湯をかけてはいけない理由がもう1つあります。
確かにお湯をかけたタイミングで一時的にトラックのガラス表面の凍結が解けるのですが、外気との温度差によって水蒸気が発生し、それがまた凍結する、という悪循環に陥ってしまいます。
こうした理由から、フロントガラスの凍結の際に熱いお湯をかけることは避けた方が良いでしょう。
フロントガラスの凍結を予防する方法
さて、ここまではトラックのフロントガラスに凍結が起こった場合の対処法についてのご紹介でした。
これからご紹介するのは、トラックのフロントガラスに凍結が起こらないようにするための「予防」の方法です。
トラックのフロントガラスの凍結は、フロントガラスに水分が付着することによって発生するので、基本的にはフロントガラスへの水分の付着を防ぐ方法といえるでしょう。
屋根付きの駐車場にトラックを入れる
屋根付きの駐車場にトラックを入れることで、駐車場外の空気中にある水分が付着するのを防ぐことができます。
水分がガラスに付着しないので、凍結も起こりません。
ただ、現状で屋根付きの駐車場を持っている人に対して、駐車場のなかにしっかりと車両を入れることを徹底することは比較的簡単にできますが、新規で駐車場を確保するとなると、ややハードルは高くなります。
撥水コートでガラス表面を保護する
解氷スプレーの紹介の際に少し触れましたが、撥水コートによってガラス表面に水分が付着するのを防ぐことで、フロントガラスの凍結を未然に予防することができます。
撥水コートはスプレータイプやタオルなどで拭くことで使えるタイプがあり、使用する車両の大きさに合わせて使い分けると良いでしょう。
撥水コートは簡単に行うことができて便利ですが、効果としては他の方法に比べると少し弱めですので、冷え込みがきつい時や、夜間の湿気が強い時には凍結が発生するケースもあり、万能ではないという点に注意が必要です。
シートでフロントガラス全体を覆う
フロントガラス凍結の予防方法の最後の1つが、シートや毛布などをかぶせてフロントガラス全体を覆う方法です。
シートや毛布などを上からかぶせることで、大気中の水分を物理的にシャットアウトできるので、凍結予防の効果が最も大きい方法です。
「フロントガラス凍結予防シート」という、そのものずばりな商品も市販されており、フロントガラス全体を覆いやすく作られているのでお勧めです。
しかしこの方法にも難点があります。
それは「面倒くさい」こと。
特に大型トラックに顕著ですが、毎回車体をしまうときにフロントガラスの上から下まで覆うようにシートを張る作業があるので、結構大変です。
もちろん、朝の出発時にはシートを剥がすだけで済むため、比較的楽になりますので、こまめにシートをかけるのが苦にならない人向けの方法といえるでしょう。
いかがでしたでしょうか。
今回は、冬場のトラックのフロントガラスに起こりがちな、凍結についてご紹介しました。
朝方、トラックのフロントガラスが凍結していると、それを解かすためだけに時間を取られてしまい、運送効率も落ちてしまいますので、しっかりと予防し、実際に凍結してしまった際の対処についても事前に備えておきましょう。