車中泊やちょっとした休憩をとるときに便利なのがカーテンです。
パーキングエリアに立ち寄った際には、カーテンを閉め切った状態のトラックが何台も並んでいる光景を目にしたこともあります。
しかし、トラックのカーテンは正しい使い方をしないと違法になることはご存じでしたか?
今回は、トラックのカーテンについてご紹介します。
目次
カーテンは長距離トラックの必需品
一日の大半を車内で過ごすトラックのドライバーにとって、トラックの車内は自分の部屋のようなもの。
快適に過ごすために内装にこだわっている人も多いでしょう。
中でも、カーテンはトラックの快適性に大きな影響を与えるアイテムのひとつです。
休憩中や仮眠中、車内の様子を見られないようにプライバシーの保護をしたり、まぶしくて眠れない状態を防いだり、車内を外の暑さや寒さから守ったりと、さまざまな点で役に立ちます。
長距離を運転し、車内で定期的な休息をとるトラックのドライバーにとって、なくてはならない、まさに必需品と言えるでしょう。
カーテンの選び方
トラックのカーテンを選ぶときは、押さえておきたいポイントが2つあります。
それぞれ見ていきましょう。
長さ
トラックの場合、車体ごとに適切な長さが異なります。
これは、トラックのキャビン(運転室)の高さが関係しています。
トラックのキャビンは、車体の大きさや車種だけでなく、天井がハイルーフ使用になっているかどうかでも異なります。
そのため、同じ車種向けのカーテンを購入したとしても、ルーフの高さによって長すぎたり、短すぎたりします。
長すぎるとドアの開け閉めのときに引っかかりやすくなったり、束ねたときに邪魔になったりしますし、短すぎるとカーテンの隙間から光が漏れてしまいます。
自分のトラックに合った長さのカーテンを選ぶようにしましょう。
厚さ
トラックのカーテンを使用するのは、大半が休憩時もしくは仮眠時です。
休憩や仮眠を快適に過ごすためのポイントは、車外の環境の影響を受けないことです。
そこで重要になるのが、休憩時や仮眠時に陽が当たって暑くなりすぎたり、外気温の影響で寒くなりすぎない程度に「厚さ」があることです。
また、生地が厚いとそれだけ遮光性も高くなるので、まぶしくて眠れないといったトラブルを防ぐことにもつながります。
薄手のカーテンだと、プライバシーを保護することはできても、外の暑さや寒さ、明るさの影響をかなり受けることになるので、ある程度の厚さを持ったカーテンを使用することをおすすめします。
これって違法?トラックにカーテンを装着するときの注意点
巷では、「トラックのカーテンは違法だ」「トラックにカーテンをつけていたから検挙された」という話が上がることがあります。
実際、カーテンの装着に関する内容でトラックのドライバーが検挙された例があります。
それでは、トラックにカーテンを装着するのは違法なのでしょうか。
実はトラックにカーテンを取り付ける際には、2つの法律で決められた内容に沿っておかなければいけません。
これを守っていない場合に違法となり、検挙されるのです。
道路交通法
ひとつは道路交通法です。
道路交通法 第五十五条の二では、以下のように定められています。
第五十五条(乗車又は積載の方法)の二
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
出典:e-Govウェブサイト「道路交通法」より引用※別のタブで開きます(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000105)
内容を要約すると、後方確認や左右の確認ができないような状態で、自動車を運転してはならないということです。
カーテンによって後方確認や左右確認の際に視界がふさがれ、安全な走行ができないと判断された場合に、検挙されるケースがあります。
そのため、走行中に視界を遮らないよう、端で束ねられるようにしておきましょう。
道路運送車両法
道路運送車両法は、自動車の登録などに関わる法律で、道路運送車両法の保安基準に適合していないトラックは車検に通らず、公道を走行することができません。
道路運送車両法の保安基準 第二十九条の四には以下のように定められています。
(長文ですが、要するに必要のないものを窓ガラスにつけてはいけないということです。特に興味が無いという人はスルーしてOKです。)
第二十九条(窓ガラス)の四
前項に規定する窓ガラスには、次に掲げるもの以外のものが装着され、貼り付けられ、塗装され、又は刻印されていてはならない。
一 整備命令標章
一の二 臨時検査合格標章
二 検査標章
二の二 保安基準適合標章(中央点線のところから二つ折りとしたものに限る。)
三 自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第九条の二第一項(同法第九条の四において準用する場合を含む。)又は第十条の二第一項の保険標章、共済標章又は保険・共済除外標章
四 道路交通法第六十三条第四項の標章
五 削除
六 前各号に掲げるもののほか、運転者の視野の確保に支障がないものとして告示で定めるもの
七 前各号に掲げるもののほか、国土交通大臣又は地方運輸局長が指定したもの
(騒音防止装置)出典:e-Govウェブサイト「道路運送車両法」より引用※別のタブで開きます(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326M50000800067#290)
カーテンはこの法令で定められたものに入っていないため、窓ガラスに貼ることができません。
そこで、カーテンレールを窓ガラスの内側に取り付けることで、道路運送車両法の保安基準をクリアしましょう。
カーテンレールは、車体の購入時にすでに取り付けてあるものもあれば、新しくレールを付けるものもあります。
自分のトラックがどの状態か見極めて、適切な方法でカーテンを取り付けましょう。
おわりに
今回は、トラックにとっては必需品ともいえるカーテンについてご紹介しました。
トラックのカーテンを取り付ける際は、いくつかのポイントを押さえておかないとうまく機能しないばかりか、法律違反になる恐れもあります。
正しく取り付けて、休憩や仮眠を快適に過ごせるよう車内環境を整えましょう。