以前の記事で「交通三悪」についてご紹介しました。
交通三悪では、自動車を運転する際に特に危険となる3種類の違反行為を定義しています。
交通三悪の記事についてはコチラ…交通三悪とは?
実は、交通三悪にはもう1つ「新交通三悪」というものがあるのをご存知でしょうか。
今回は、この新交通三悪についてご紹介していきます。
目次
交通三悪とは
そもそも交通三悪とは、どういったものでしょうか。
1960年代の半ばごろから、無免許運転、飲酒運転、速度超過の3つの違反による重大事故が増加していました。
それを受けて全国の警察がこれら3つの交通違反を「交通三悪」として制定し、現在でも危険な違反行為の代表格として扱われています。
新交通三悪とは
時は進み、1993年になると、自動車の全国的な普及や、大型トラックの事故率の増加が目立つようになりました。
それにともなって、新たに3つの交通違反に対し「新交通三悪」を制定しました。
新交通三悪に定められているのは、「シートベルトの非着用」「過積載」「違法駐車」の3つです。
それぞれ見ていきましょう。
シートベルトの非着用
道路交通法では、シートベルトの着用が義務付けられています。
元々は「努力義務」として1971年に制定されていたものですが、シートベルトの着用義務の法制化に向けた陳情が国会に多数寄せられたことによって、1985年には高速道路上で、1992年には一般道での前席(運転席と助手席)に乗っている人に対するシートベルト着用が罰則付きで義務付けられました。
その後、2008年には後部座席に関してもシートベルトの装着義務が課されました。
後部座席に乗っていたとしても、例えば高速道路などのスピードが出る場所においてはシートベルトを着用していないと安全とは言えず、実際に後部座席でシートベルトをしていなかったことによって子供が車外に放り出され、死亡してしまうという事故が発生したこともあります。
このことから、シートベルト着用に違反すると前部・後部関係なく罰則が科されることになりました。
シートベルト着用義務違反では1点の減点で反則金を納める必要がないため、違反切符は「白切符」というものが発行されます。
反則金がないため、軽く考えている人もいますが、万が一事故が起こった場合には、身体が車内の様々な場所にぶつかったり車外に投げ出されてしまう恐れがあり、危険度が非常に高いので、新交通三悪に入ることになりました。
過積載
過積載は、貨物自動車などに定められている最大積載量を超えて、荷物を荷台に乗せたときに発生する違反行為です。
荷台にかかる重量が大きくなるので、制動距離が増えバランスが悪くなりやすくなったり、貨物が落下しやすくなるといった危険性が非常に高い違反行為です。
過積載が起こる背景には、荷主の立場が運送会社よりもかなり強いことがあります。
荷主の立場が強いと、運送会社は無理な依頼でも受けなくてはならず、結果として一度にたくさんの荷物を運ばなければならなくなってしまいます。
運送会社はその対応策として、やむなく最大積載量以上の荷物を1台の車両に積み込んでしまう、というケースが多くありました。
こういったことが横行していたため、過積載に対して危険な違反行為の1つと判断され、新交通三悪に認定されました。
現在でも過積載による事故が発生しており、2018年9月8日には、過積載のトレーラーが横転し、その下敷きになった乗用車に乗っていた3人が死亡するという痛ましい事件が起きています。
過積載は絶対に起こしてはいけませんので、対策をしっかりとしておく必要があります。
以前の記事で過積載についてご紹介していますので、そちらもご参考にしてもらえればと思います。
過積載について詳しくはコチラ…「過積載」の危険性とトラック買取への影響とは?
違法駐車
日本では、道路の持ち主の許諾なく、車を駐車することができません。
公道においては駐停車禁止や駐車禁止などの措置を取ることで、許可範囲を分かりやすくしています。
他の車両や歩行者などが通行する邪魔になったり、渋滞が発生する原因になったり、事故が発生する原因になったりと、さまざまな危険につながりやすいこと、ほかの交通違反に比べても発生率が非常に高いことなどから、駐車が禁止されている状況で駐車を行う、いわゆる違法駐車に関しても新交通三悪と認定されることになりました。
駐車が禁止されている条件は以下の3つです。
・運転者が車両から離れてしまい、すぐに運転することができない「放置駐車」であった場合。
※ちなみに、放置駐車の場合は2006年より、放置駐車違反金が科せられます。放置駐車の反則金が「駐車違反をした運転者」に科せられるのに対し、放置駐車違反金は「車両の所有者」に科せられるのが特徴で、運転者が所有者と異なる、社用車などの場合に発生する罰則です。・駐車や停車が禁止されている場所での駐車の場合。
・「高齢運転者等専用駐車区間」で一般車両が駐車した場合。
いかがでしたでしょうか。
これら新交通三悪は、従来の交通三悪に比べて「危険だ」という印象を受けにくいという特徴がありますが、近年これらが原因で起こる重大事故がニュースで取り上げられることも少なくありません。
ドライバーの方、事業者の方にはぜひ、これらの違反が起きないように注意して欲しいと思います。